5年に1度の公的年金財政検証を受けた上で、日本政府の年金制度改革案が発表されました。
このまま来年の通常国会に提出されそうです。
パートなどの短時間労働者への厚生年金適用や、働いて一定の収入がある厚生年金受給者の「在職老齢年金」において年金減額基準を引き上げる法案などが織り込まれています。
パートの方々も厚生年金に加入できるとなれば、将来に対する公的年金がプラスになるわけですから喜ばしいことかもしれませんが、雇う側と働く側双方に保険料の負担が発生することとなります。
現在は従業員501人以上の企業で働き、賃金や労働時間が一定以上の方が対象となっていますが、今後100人以上や50人以上と段階的に適用を拡大していく見込みとなっています。
この短時間労働者における厚生年金の適用拡大を受け、企業側ではすでに難色を見せているところも聞かれ始めました。
企業側としては社会保険料の増加により負担が急激に増えるのが予想されています。(厚生年金の保険料率は18.3%で労使折半となっています)
求人時や現在働いている方について勤務時間を抑制して適用から外れるようにするなど、企業側として人材不足に陥らないためにどうクリアーしていくか非常に難しい一面をすでに覗かせています。
そして働く側も厚生年金の適用を受ければ、いままで国民年金第3号被保険者だった保険料の負担がなかった方にも保険料が発生します。(その分基礎年金に加えて厚生年金も受給できますが)
いずれにしてもこの年金制度改革案が通常国会を通過すれば、企業側としても働く側としてもこの先難しい判断を迫られることになりそうです。
「在職老齢年金」に関してはいろいろな案が報道されましたが、60歳から64歳までの年金減額基準については現行の賃金と年金の合計額が「28万円超」から「47万円超」となりそうです。
65歳以上の在職老齢年金については「47万円超」と据え置き。
70歳まで加入が認められている厚生年金について、厚生年金を受給し始めても働き続けて厚生年金保険料を支払う65歳から70歳までの方に、厚生年金に毎年1回定時に年金額に支払った保険料を反映させる「在職定時改定」や、受給開始年齢も60歳から70歳までを60歳から75歳まで拡大などが改革案にのぼります。
「働けるうちは働いていただいて、公的年金の受給をなるべく遅らせ老後資金の不足分はご自分で対策を講じてください」ともとれますが。
老齢基礎年金(国民年金)の受給水準は、保険料を納める現役世代の減少により給付を抑制する「マクロ経済スライド」が導入されており、今後30年にわたって抑制が続くと見られています。
そこで浮上してきたのが国民年金加入義務を現行の20歳から60歳の40年間から、20歳から65歳までの45年間に延長する案です。
今回の年金制度改革案には織り込まれていませんが、近い将来必ずこの改正案も国会に提出されそうな気がします。
今まで60歳までの国民年金保険料の支払い義務が今度は65歳までの義務と5年長くなるのですから、間違いなく国民一人ひとりの負担が増えるわけです。
2020年までカウントダウンとなってきましたが、身近にある将来の不安はまだまだ解消されそうにないことだけお忘れなく。