総選挙が終わっても、何も変わりそうにない雰囲気の日本。

各国は過熱気味のインフレ(物価上昇)に対して、どう対処しようか模索しているのに、日本だけがいまごろ「給付金、どうする?」みたいな話題が先行し、ちょっと的外れな印象もあります。

まあ、10年前の「東日本大震災」のときも、そんな感じでしたから。

ただ、ほとんどの日用品を輸入品でまかなう日本にとって、日本に入ってくる品物の価格が高騰することは、日常生活に直接的なダメージを与えます。

所得は上がっていませんし。

特に近年は、原材料や人件費、輸送コストの高騰により、消費者に気づかれないよう値上げする「ステルス値上げ」がごく一般的。

チョコレートやポテトチップスのお菓子類に、マヨネーズやヨーグルト、カップめんなどなど。

価格は据え置きでも内容量を減らすことで、コスト面をカバーしています。

そしていま、これから冬を迎えるという時期でも「原油価格」の高騰は止まりません。

その流れは間違いなく、まだまだ続きます。

2021年11月の第1週目。

オーストラリア、アメリカ、イギリスなど、主要先進国の中央銀行が政策金利について発表しました。

結果はどの国も政策金利は「据え置き」。

つまり、「利上げはしない!」ことに。

いくらインフレ(物価上昇)率が目に見えて高くても、それは「一時的なこと」との判断です。

ですので、今のところインフレに対して、「なんとか政策金利で抑え込もう!」としていないのが現状。

アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)がFOMC(金融政策を決定する会合)で、テーパリング(お金を刷って銀行の資産を買い入れる規模を減らす)については、今月11月から実行していくことを明言。

ただし、政策金利の引き上げ「利上げ」については、2022年7月以降かもしれないと声明を出していることから、「そんなのまだまだ先のことだから!」というニュアンスにも受け取れます。

金融市場に流れるお金は多少減るかもしれないが、FRBが本来目指すインフレ(物価上昇)率とは今の現状は違うので、雇用や失業率の改善とともに経済活動がパンデミック以前に近くなれば、需要の不均衡は是正されインフレ(物価上昇)も落ち着くと見ているようですが。

それまでは緩和的な金融措置を継続していく模様。

奇しくも、アメリカFRBのFOMC声明後に世界の原油価格を牛耳る「OPECプラス」が、アメリカや日本の増産要求を却下。

昨年4月、新型コロナのパンデミックによりジェット機や大型タンカー、陸運などが動かなかったために大量の原油在庫を抱え、「お金を払うから持っていってくれ!」状態までに追い込まれたことで、もう2度と在庫を抱えたくないOPECプラスは増産要求を拒否。

そのうえ時代は「脱炭素」。

いままで通り、「チビチビ」と産出していくことを表明。

お金を刷って銀行の資産を買い入れる量は徐々に減らしていくが政策金利は据え置き。

その間、経済正常化に向かえばインフレ(物価上昇)は収まるだろう。

ただそれは同時に、「新型コロナ」の脅威も収まることが前提。

今ある新型コロナの感染者が落ち着いた状態は、もしかすると一時的なことだとしたら、再度新型コロナの感染者が拡大し、再び経済が低迷するリスクも十分にあり得る。

「まだまだ新型コロナは経済を左右する」。

そんな見解がFRBをはじめとする各国の中央銀行だけではなく、OPECプラスのような世界的な主要産業内にも影響を及ぼす機関にもあるとしたら。

だとしたら、金融緩和の姿勢は当面継続で、FRBのパウエル議長が言葉を選びながら説明した「利上げ」なんて、まだまだ先でしょうし、同時にそれは今置かれた状況、つまり「まだまだインフレ(物価上昇)は続く」と見てもおかしくないような。

新型コロナの脅威が霞むまでは。

ただでさえ不安な日本で、新型コロナウイルスの脅威とともにやってきた、目には見えない「不穏な霧」は、なかなか私たちの目の前を晴れやかにはしてくれませんね。

アフターコロナ後も含めてちょっと近い将来を考えてみれば、2021年はここから始まる厳しい時代の幕開けかもしれませんよ。