2019年5月、当時トランプ政権が示した対中貿易政策が一旦はまとまりかけたものの、中国側からの新たな条件提示に、業を煮やしたトランプ大統領は追加関税を発動。

鳴りを潜めていた中国も、同年8月下旬、対抗措置として追加関税を発表。

このことに完全に「キレた!」トランプ大統領は、お得意の twitter で突然中国に対し、さらに上乗せの追加関税を発表するなど、ノーガードでの関税の打ち合いが始まります。

よって、この日のニューヨーク金融市場は株も為替も大混乱。

その日は、たまたま金曜日。

金曜ロードショーでジブリ映画の「崖の上のポニョ」が放映されていたことから、トレーダーの間でまことしやかに囁かれている、「ジブリの呪い」を連想させる暴落劇となりました。

じつは、そこから約1週間前に、アメリカの2年債の金利が10年債の金利を上回る、「逆イールド現象」がおきています。

この「逆イールド現象」、リセッション(景気後退)のシグナルとされ、これから高い確率で金融市場に、大きな暴落を呼び起こす前兆とされてきました。

トランプ政権ではアメリカ第一主義のもと、かねてからアメリカからの輸出品および、国内に入ってくる輸入品に対する関税での不均等を唱えており、その対象は中国だけにとどまらず、EU諸国に対しても貿易不均等の是正から、EU諸国からの輸入品に対し、関税の引き上げを発表していました。

この時すでに、アメリカを震源地とした世界的な流通の調和は崩れかけており、不透明なことを一番嫌う金融市場はリスク回避傾向にあり、資金の避難場所として債券市場に、お金が流れる構図が進行していたといえます。

2019年も逆イールド現象が発生した当初、多くのエコノミストや経済著名人、そしてトレーダーたちが、これから金融相場で起きるであろう暴落劇を口にしましたが、それもすぐにはやってきません。

過去から見れば逆イールド現象が発生し、リセッション(景気後退)までに発展するときは、発生してから約1年半後から2年後に大きなリセッション(景気後退)の波がやってきています。

逆イールド現象が発生してから、リセッション(景気後退)とまで至らなかったケースもあり、「絶対にやってくる!」とは断言できないことも、過去のデータからわかります。

そして、2022年3月29日もアメリカで2年債と10年債の金利が逆転する、逆イールド現象が発生しました。

原因はさまざま。

まあ、一番の大元は「新型コロナ」でしょうが。

先ほどもお伝えした通り、この逆イールド現象が発生すれば、金融市場にとって、特に株式市場にとって不吉な予兆となることは、過去の相場が証明しています。

ただ、ヒヨうことなかれ。

2000年のITバブル崩壊に、今のところ今世紀最大の金融危機であった2008年のリーマン・ショック。

2010年のギリシャ危機に、2011年の東日本大震災。

2015年のチャイナショック。

2016年イギリスのEU離脱問題に、同じく2016年、トランプ大統領誕生前の9月,10月。

トランプ政権誕生後、2018年2月の「温床相場の終焉」と謳われたパウエル・ショック。

同じく2018年の暮れ、「トランプ大統領からの最悪のクリスマスプレゼント」と揶揄された、アメリカの議会を通過した予算案に大統領署名を拒否、そのことにより政府系機関が約1か月におよび閉鎖に追い込まれた、2018年12月のクリスマス・ボトム。

そして、2020年3月、新型コロナのパンデミックなどなど。

この20年、株式市場は細かく挙げればキリがないほど、そんな大きなネガティブ環境を通り抜けてきました。

2019年の8月に逆イールド現象が発生した以降、リセッション(景気後退)があったかどうかは、人によって捉え方は違うでしょうが、私自身、身近なとろろで観察しても、間違いなくこのコロナ禍は不況を呼び込んでいますし、多くの人々が今までにない出費を迫られるワリには収入アップが今一つなので、リセッション(景気後退)に踏み込んでいると言えますが、それは2019年8月の逆イールド現象というよりも新型コロナのせい。

そんなことよりも、もし今後、2022年3月29日に逆イールド現象が発生したことにより、リセッション(景気後退)に発展したとしても、毎月積立方式で決まった金額を、株式投資信託などに投資しているなら、大きな落ち込みがあった分、口数を伸ばせる「ドルコスト平均法」なので、長期的な視点なら何ら気にすることもありません。

積立ではなく、まとまった資金で一括投資している「1ショット」をお持ちの方には、ちょっと辛い日々になりますが。

詳しくは SMILE AGAIN まで。