長年、会社で精一杯働き続け定年を迎えた後の日常生活を支える、基盤となるのが公的年金。
その公的年金ですが、2023年6月からの公的年金支給額は、若干、上がることになっています。
公的年金の増額はじつに3年ぶり。
ただ現役世代が支払う国民年金保険料は、2024年から16,980円になりますが。
2022年は国民健康保険料が16,590円で、2023年が16,520円なので、2024年の上昇幅は460円。
100万円を1年間貯金していても利息が100円もつかない時代に、上げ幅としてはけっこうな上昇幅に感じます。
まあ、国民健康保険料を支払う現役世代としては、支払うことが前提となっているので致し方ないとしても、公的年金を頼りにして生活するシニア世代にとって、この3年ぶりの増額が決して素直に喜べないところも大きいでしょう。
それはみなさんもに日常生活でお感じの通り、急激な「物価の上昇」が日本でも顕著に表れているからです。
しかも物価はいま上昇しているのに、公的年金の増額は4月分・5月分を支給する6月から。
それでも今年の6月に支給される公的年金の上昇幅が、67歳以下の方で2.2%。
68歳以上の方は1.9%ほど引き上げられますが、それ以上に物価の上昇率が4%越えと支給率以上に上がっています。
つまり公的年金の上げ幅が、物価の上昇に追いついていない状態。
なぜ公的年金が物価水準に追いつかないの?
これが現行の公的年金支給率を決める、「マクロ経済スライド」方式の恐ろしいところ。
ここにきて海外の経済状況と国内との金融政策の違いから、一気にインフレ(物価上昇)に傾いた日本ですが、その前は「物の価値が落ち込む」デフレ環境でした。
このデフレ環境を打破しようと政府も日銀も、あらゆる方向でデフレ脱却を試みましたが、一向に兆しは見られないまま、時間だけが過ぎていきます。
このような環境下で本来であれば「物価」も「賃金」も上昇しないので、公的年金の支給率も下がりそうなのですが、「マクロ経済スライド」方式ではデフレを理由に公的年金を下げないことになっています。
じゃあ逆になったら?
ここまでくればもうお分かりですよね。
デフレで公的年金支給率を下げないかわりに、インフレになっても上げないのが「マクロ経済スライド」方式。
今回のように極端なインフレになっても物価上昇率や賃金上昇率を加味して、まったく支給率を上げないワケではありませんが、デフレで支給率を下げなければならない部分を、インフレになった時に上げなければならない部分から差し引く、「キャリーオーバー(繰り越し)」制度になっているからです。
わかりやすくお伝えしますと、
「デフレ環境でも公的年金支給率は下げませんから、そのかわりインフレになっても公的年金の支給率は上げませんよ!」
ということです。
今の季節はただでさえ寒い冬の時期。
暖房ナシではいられないのに、電気代はガンガン上がりまくっている。
それだけではなく食料品も価格が値上げしまくり!
そんな事態なのに、頼りの公的年金は物価の上昇に追いついていかない。
これが今、公的年金を受け取っているシニア世代の現状です。
そして、これから公的年金を受け取ろうとするミドル世代あるいは20代、30代の方が、公的年金を受け取るような年齢になった時、はたして現状で公的年金を受け取っている今のシニア世代より、公的年金の支給額が多いと思いますか?
答えは明確でしょう。
だから将来のことは、なるべく早く若いうちから考えた方が、ゼッタイ間違いないですよ!