物価の上昇が止まりません。
20日に総務省が発表した2022年12月の全国消費者物価指数は、前年同月比で4.1%と1981年12月以来の高水準。
第二次安倍政権発足以降、日銀 黒田総裁とともに目指してきた「物価上昇率2%」。
これまで、いかなる金融政策を講じようと、物価上昇率2%はおろか、デフレ脱却もままならない状況下だった日本を、ここ数年の世界情勢の変化が、一気に高インフレへと追い込みました。
これが、自給率の低い日本に住んでいることの恐ろしさ。
日本自体の経済環境や金融政策が劇的に変化したワケでもなく、日本以外の外部要因により、物価を押し上げるカタチとなっています。
特に目立つのが、電気代や都市ガスなどの、エネルギー関連の価格上昇。
みなさんのところにも電力会社より、2023年4月から値上げをおこなう旨の通知が届いていますよね?
ただでさえこの冬、電気代が前年を上回っているのに、「まだ上がんの!」って、悲痛な思いをしているのは私だけではないでしょう。
もちろん、エネルギー価格の上昇を招いた発端は、ロシアのウクライナ侵攻です。
そこに、穀物相場の高騰や中国のロックダウンを経て、コロナからの経済活動が海外で本格化したことによる需要に、供給が追いつかない状況が重なり、なおかつ、働き手不足による賃金インフレも合わさって、世界規模の高インフレ期に突入していきます。
その風潮は、日常生活を海外の資源や原材料に依存する日本に、やってこないはずがありません。
かつてないほどの「円安」も手伝って、しっかり強めの物価高がやってきました。
この物価高は日常生活を直撃していますが、それは企業にとっても同じ。
エネルギー資源や原材料は、ほとんどが海外からの輸入に頼っているのが日本です。
もともと、エネルギー価格や原材料費の高騰、そして、そこに記録的な「円安」が絡んできての製品への価格転嫁、あるいは、価格はそのままでも内容量を減らすなど、事実上の値上げといえる企業の苦肉の策が、物価高につながっています。
企業の収益面を考えれば、それほど変わらない、いや、むしろ商品の値上げや内容量の減少などで、販売量は落ち込んでいるかもしれません。
こちらも厚生労働省の調べになりますが、2022年11月の実質賃金は、物価上昇率を差し引くと3.8%の減少と8か月連続でマイナス傾向であり、企業も現状の業績から賃上げが見込めないとすると、消費はドンドン落ち込む負のスパイラル。
そうなると、政府や日銀が望んできた経済成長とは、違う路線を進み始めるでしょう。
さらに深刻そうなのが公的年金で生活する、シニア世代の「年金受給者」かもしれません。
その深刻さは、毎年、公的年金の給付水準を決める「マクロ経済スライド」方式を理解すると、かなり「ゾッと」しますよ。