世の中にはFP(ファイナンシャル・プランナー)と名乗る保険屋さんがいます。

別にその肩書を信頼するのはご自由です。

FPとは本来、お客さまのライフプラン(人生設計)において適切な資金の預け先や、将来必要となりそうな資金の作り方を提案する職業を指します。

もちろん、それには金融全般の仕組みや商品知識に長けていなくてはなりませんし、税制やローン金利あるいは保険など、幅広い金融知識が必要です。

幅広い金融知識をもとに、お客さまの人生の中で進行する大学進学や就職、ご結婚にご出産、そしてマイホーム購入に退職後の生活など、さまざまなライフイベントを想定して、その節目節目においてお金に困らないようなアドバイスができる方がFPでしょう。

だから、生命保険だけしか販売できないFPは、厳密に言えばFPではなくFPの資格を持っているだけ。

そんなFPを名乗る保険屋さんがお客さまのご案内によく使うツールに、「ライフプラン シミュレーションシステム」があります。

このツールはお客さまの将来に、時間の経過とともにどんなライフイベントがやってきて、そのライフイベントにどれくらいのお金がかかるのか、あるいはライフイベント以降、どのように家計が変化するのかを計るためのシミュレーションシステムです。

システムのデータには大学4年間の費用や公的年金受給額、遺族年金などがインプットされていて、一見するとお客さまがあまり知り得ない情報のように思われがちですが、実際はそうではありません。

今は情報過多の時代。

本当に調べようと思えば、いくらでも調べられます。

そして「ライフプラン シミュレーション」自体、FPを当てにしなくてもお客さま自身で普通にできることです。

みなさんは「知るぽると」をご存知ですか?

知るぽると:金融広報中央委員会 (shiruporuto.jp)

この「知るぽると」、日銀や政府、そして地方自治体や民間企業が参画して金融リテラシー(理解度)の向上や、金融情報発信をおこなっているwebサイトです。

ご存知なければ、まずは「知るぽると」とスマホで検索してください。

すぐに出てくるので「知るぽると」のサイト内検索で、「ライフプランニング」と入力しましょう。

すると一番上に「ライフプランニングをしてみよう!」という画面が出てきます。

そこに必要事項を入力していけば、FP顔負けの現実的なライフプランニングデータが完成します。

これはもう、私たちがおこなっている「ライフプランニング」とまったくいっしょ。

いや、私たちがお客さまから情報をお聞きしてシステムに入力したデータより、お客さま自身で入力している数字のほうがよりリアルでしょうから、FPより正確なプランニングデータができあがるかもしれません。

どこぞの古いデータシステムより、かなり信頼できる最新のデータがインプットされていますので。

生命保険メインのFPからデータを根拠に、

「大学進学費用とその後の学費に○○○万円かかりますから、その費用を貯蓄型の生命保険で備えておきましょう!」

なんてご提案を聞く煩わしさもありません。

しかも収入と支出状況も入力できますから、家計の収支バランスも「見える化」できてムダと思われる部分や、商品やサービスを置き換えれば支出が抑えられそうなところも一目瞭然。

家計改善にも一役買ってくれます。

ここから先の本格的な資金対策には、それこそ専門的な金融商品知識が必要でしょうが、ライフイベントまでの残年数や必要資金の金額、そして家計の収支状況を確認する行程は、私どもやFPがおこなっているライフプランニングとまったく同じです。

最終的に生命保険しか販売できないFPは、「ライフプラン シミュレーションシステム」を使って、必要資金対策として貯蓄型の生命保険を持ってくるだけでしょう。

それはそれですべて間違いだとは言いませんが、これだけ世の中の投資環境が整っているのに、将来の必要資金対策が生命保険だけっていうのもあり得ないでしょ。

流動性も低いし。

貯金・投資商品・貯蓄型生命保険と、それぞれの良さとデメリットを補うような「商品分散」がライフプランには必要なはず。

そういった意味では、生命保険しかご提案しないFPからライフプランニングを受けるよりも、ご自身でライフプランをシミュレーションしてみて、ある程度ライフイベントに対しての必要資金や家計状況を把握しておくのも、お金に困らない将来のカギだと思いますが。

世の中には「投資信託」を販売したことはもちろん、買ったこともないまま「老後の資産形成は変額保険で!」とか言っているFPもいますので。(ファンドの特性を理解していないまま、変額保険を勧めています!)