以前、茨城の某大手外資系保険会社に勤めていたときに、ご紹介をいただいた社長さんがいます。
学習塾や家庭教師をメインに教育関係の会社を経営している社長さんなのですが、革新的アイデアで教育業界に変革をもたらそうと日夜努力しています。
年齢的にも若く常にアクティブに仕事をこなしていらっしゃるので、なかなかお会いするのも難しい社長さんなのですが、ご紹介をいただいた以降社長さんのご都合が良い時に何度か会食をご一緒させていただいたことがあります。
社長さんはアメリカでの生活が長く、その物事への考え方の礎はアメリカでの経験がインスパイヤされているように見うけられます。
たとえば投資に関するスタンスです。
社長さんはほかのお客さまにはあまり見られない、投資ということに対して寛容な姿勢を覗かせます。
ほかのお客さまが投資に対して一歩引くような場面でも、どんどん内容について踏み込んできます。
なぜか?
アメリカのelementary school(エレメンタリースクール)は日本でいうところの小学校にあたるのですが、そのelementary schoolの時点で金融の教育があり、なかでも投資についての勉強を盛んにおこなうそうです。
投資の仕組みや投資のメリット・デメリットを小学生の内から理解し、資産を増やすことの大切さとともに必然的に経済への理解と関心度を深める教育がおこなわれているそうです。
ですので日本人よりアメリカの小学生のほうが、戦争や原油価格の変動あるいは国の政策などの変更により、経済や物価、為替に与える影響を理解しているようです。
アメリカには「株式投資はギャンブルみたいなもの」のように投資のリスク面だけを捉えた偏った考え方もありませんし、富裕層が買うもの的発想もありません。
きちんと投資の仕組みや投資のメリット・デメリットを小さい頃から理解しているのですから、そういった発想は思い浮かばないのだと思います。
日本の金融機関や証券会社のように投資に対する理解を深めてもらうためセミナーを開催するようなこともなく、率先してご自分の資産をどういう目的でどの投資をするかをご自分で判断ができるということなのです。
これって私から見ると、けっこう凄いことなんですけど。
私自身、以前投資信託を販売していたとき、その投資信託を販売できるようになるまでや販売できるようになった以降あるいはアフターフォローなどを含めて、どれだけの時間を費やしたことか。
当時、私自身投資への関心度も低く投資経験もない状態から、仕事上今後必要になることから証券外務員の資格をとることから始まり、その後幾多の研修を経てようやく正式に販売できるようになっっても今度は各ファンドの特性をつかむべくファンドごとの理解を深め、そのうえ各種検査や監査などにも対応しと、今思うと投資信託を理解するということに膨大な時間が流れていった気がします。
それでもその時に投資信託を販売できたことは、今となっては非常にいい経験でしたが。
もし日本もアメリカのように小さい頃から積極的に金融について学ぶ機会が設けられていて、投資に対する理解ができていたら販売する側も購入する側もまったく違った貯蓄への価値観が見られたでしょう。
だって販売する側もプロなら、購入する側もプロに近い知識と投資の原理をわかって購入するわけですから。
お客さまの投資への必要性の理解と金融機関や証券会社の関係が成り立っていることになります。
いまさら老後資金2000万不足なので、いまから「iDeCo」や「つみたてNISA」で備えましょうと言われても、「iDeCoって何?」とか「つみたてNISAってどうやって始めるの?」みたいなことにはならないと思います。
とゆうか皆さん率先して以前から投資性商品を利用して貯蓄していたはずです。
ここへきてようやく日本での投資への関心度が高まってきましたが、まだまだ浸透されたとは言えません。
「投資って怖い」や「投資ってギャンブルといっしょ」みたいなイメージをお持ちの方がたくさんいると思います。
「そうではありませんよ」と訴えかけても、冒頭の社長さんほどではないにしろ一歩踏み込まれる方はまだまだ少ない気がします。
いつの日か日本での投資教育が始まり、今のスマホみたいに「え、スマホじゃないの」くらいの認知度で投資が広まり「え、投資やってないの」みたいな日本が訪れることを期待したいと思います。
20年後かあるいはもっと先のような気がしますが!