昨日のニューヨーク株式市場では現地時間の朝方に発表されたアメリカの10月の雇用統計が予想を上回る伸びを見せたことで、今年の最高値に迫る勢いを見せS&P500やナスダック指数などは今年の最高値を更新しました。
米中貿易協議も農業や金融、為替分野での協議に関しては「ほぼ完了」という報道も各金融市場に広がり上昇に勢いがつきました。
トランプ大統領はツイッターで「株高を楽しもう!」と投稿、自らの経済政策の成果だとアピール。
トランプ大統領が大統領選に勝利した3年前と比べると、米中貿易問題で乱高下も多かったのですが、この3年間でNYダウは1.5倍に上昇しました。
現地時間10月30日にFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で今年3度目となる政策金利の引き下げ(利下げ)を決定したのも今回の流れを作った要因に思われます。
今回もFRBが利下げに踏み切ったのは、米中貿易協議の長期化で製造業への業績悪化からの景気低迷を金融緩和で未然に防ぐ意味合いの「予防的利下げ」とパウエル議長は説明。
そのうえで今後の利下げについては据え置きを示唆しています。
つまりアメリカ経済は米中貿易の問題を抱えていても、底堅いのが現状のように見えてきます。
今年の4月から5月にかけての米中貿易協議がすでに合意文書が出来上がった段階からの暗転があり、8月に逆イールド現象が発生し9月の米ISM製造業景況感指数47.8という数字が発表されてもアメリカ経済は拡大路線のままだということでしょうか。
トランプ大統領からのFRBへの利下げ要求もあり、3度の予防的利下げに踏み切っているFRBですがFOMCでも政策金利の据え置きを唱える連邦準備銀行総裁もおり、今回の利下げにいたっても難しい判断だったでしょう。
アメリカ経済がまだ拡大局面あるいは円熟期だとしたら、利下げは必要ないことになりますから。
もしかしたら3回の利下げで、株価に急速な株価上昇の流れをつなげた可能性が見えてきます。
だとしたらどこかでNYダウは急激な下げの局面へと向かうのではないでしょうか。
米中貿易協議でも最大の焦点である知的財産保護などの問題には触れられておらず、また今年の5月のように突然流れが変わる可能性もトランプ大統領のことなので考えられます。
それでもFRBの利下げ判断はあくまでも予防的利下げだったと市場関係者に捉えられ、私のNYダウへの予想も外れてくれることを期待したいです。
今年も残り2か月を切り、アメリカではクリスマス商戦が始まっているころだと思います。
昨年のクリスマスは株式市場関係者にとって嫌な思いでしか残っていないはず。
今年はトランプ大統領が最高のクリスマスを準備するのか、ちょっと見ものです。