娘さんの難病を治療するため、母国キューバを離れアメリカに亡命した元WBA世界ヘビー級暫定チャンピオン King Kong ルイス・オルティス。

ボクシング王国キューバで25歳からアマチュアボクシングをはじめアマで343勝19敗という驚異的なレコードを引っさげ、2010年2月に31歳でプロデビュー。

デビュー後は数々の地域タイトルを獲得しながら破竹の勢いで白星を重ねていきました。

いかつい表情とずんぐりむっくりした体型からはあまり想像のつかない、サウスポーの技巧派でコンパクトなスウィングとスムーズなコンビネーションやカウンターを見せます。

2018年3月に無敗同士の一戦、WBC世界ヘビー級チャンピオン Bronze Bomber デオンティ・ワイルダーに敗れるまでは二つの無効試合を含む29勝24KOの無敗。

この2018年3月におこなわれたWBC世界ヘビー級チャンピオン デオンティ・ワイルダーとの一戦は試合運びのうまいオルティスと無類の強打を誇るチャンピオン ワイルダーとの間で一進一退の攻防を繰り返しました。

5ラウンドにワイルダーが自慢の右強打でオルティスをダウンさせると、6ラウンドはオルティスのコンビネーションがチャンピオンの顔面を捉え始め、7ラウンド今度はオルティスのコンビネーションがチャンピオン ワイルダーをダウン寸前まで追い込みます。

チャンピオンはゴングに救われた形に。

8ラウンドさらに追い打ちをかけるオルティスに対して必死に打ち返すチャンピオン。

9ラウンド、6回、7回、8回とラッシュを見せたオルティスに疲労の色が見え始めます。

それでも試合をフィニッシュさせようと力を振り絞ってチャンピオンを追い詰めていきますが、9ラウンド残り15秒にチャンピオン ワイルダーの右強打がオルティスの顔面にヒット。

足に力が入らない感じでバタバタと後ろに後退するオルティスですが今度はオルティスがゴングに救われます。

オルティスは明らかにスタミナ切れと9ラウンドのダメージを抱えたまま10ラウンドのリングに向かいますが、もはやチャンピオンのワイルドなスウィングに反応できません。

10ラウンド1分30秒にチャンピオン ワイルダーのラッシュを受け耐え切れずダウン。

なんとか立ち上がりましたが、防戦一方のオルティスにチャンピオン ワイルダーの右強打が再び炸裂、体を丸めながらコーナーに追い込まれたところを強烈な右アッパーがヒットし、たまらず両ひざをついたところでレフリーは試合を止めました。

無敗同士の一戦はチャンピオン ワイルダーが10ラウンドTKOで勝利することになりましたが、ラウンドごとに主導権が変わるシーソーゲームとなり緊迫した試合展開に見るものをくぎ付けしたことは間違いありません。

WBC世界ヘビー級チャンピオン Bronze Bomber デオンティ ワイルダーを「あわや!」というところまで追い込んだ、King Kong ルイス・オルティス。

2018年は話題を独占するようなボクシングのビックマッチがけっこうおこなわれており、この一戦は専門家が選ぶベストバウトにはなかなか入ってきませんが、これぞヘビー級という見ごたえのある内容だったと思います。

そしてこの一戦には続きがありまして、2019年11月24日にリマッチがおこなわれました。

じつはこのリマッチもなかなか戦慄な展開となりまして。(知っている方もいらっしゃると思いますが)

続きは次回に。