アメリカ国防省は2日夜(日本時間1月3日午前)に、イラン革命防衛隊の精鋭で組織するコッズ部隊のソレイマニ司令官の軍事作戦による殺害を発表しました。

事の発端は2019年12月27日にイラク北部にある米軍が駐留するイラク軍事施設にロケット砲の攻撃をうけ、この攻撃でアメリカ人の軍関係者が死亡。

アメリカ軍はすぐさま報復を開始、29日にはイラクにある親イランのイスラム教シーア派組織の拠点5か所を空爆。

アメリカ軍の空爆に怒りを露わにした親イランのデモ隊が、イラクの首都バクダットにあるイラクのアメリカ大使館に押しかけ抗議デモを行うと、一部暴徒化した人々が投石や施設に放火するなどの事態にまで発展。

バクダットにあるイラクのアメリカ大使館へのデモ対応として、アメリカ軍の増派を余儀なくされることになりました。

そして今回のアメリカ軍が駐留するイラク軍事施設攻撃を含め、中東情勢の治安悪化において最重要人物とみられていたのがイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官です。

中東地域を管轄するアメリカ中央軍司令官が「イランが活動している地点には必ず彼の姿がある」と発言するほど中東において最も警戒しなければならない人物でした。

2018年5月8日にアメリカのトランプ政権がイランとの核合意を離脱した以降、中東情勢での治安悪化の原因とさせるイランとイランの代理勢力でイスラム教シーア派などを支援してきたイラン革命防衛隊。

その中核であり大きな権限があったとされるコッズ部隊のソレイマニ司令官の殺害は、大統領選も控えるトランプ大統領にとって対イラン強硬政策を打ち出す意味での必然だったのかもしれません。

ただ、イラン側としても最高指導者ハメネイ師が全幅の信頼を置く人物として、ソレイマニ司令官の存在は重要とされていました。

イランの最高指導者ハメネイ師やロウハニ大統領は、アメリカに対してすでに報復を宣言しており、このままでは済まさないことを強調しています。

しかもソレイマニ司令官はイラン国民からは英雄と讃えられる人物。

ソレイマニ司令官の殺害にはイラン国内でもアメリカへの強い憤りと非難の声が上がっています。

そのうえイスラム教シーア派の影響力が強い国々からも、アメリカへの怒りの声明が続々と報道されており中東は瞬く間に不穏な空気に包まれだしました。

アメリカとイランの全面戦争はどちらも避けたい状況だと思いますが、報復としてホルムズ海峡封鎖などとなれば中東からの原油に頼る日本などは大打撃となります。(すでにアメリカとイランの中東情勢を踏まえ原油価格は4%ほど上昇しています)

年明け高値更新のNYダウも3日は中東情勢の緊迫感からリスクオフの売りが先行。

米国債利回りも一気の急落で1.79%。

為替も1ドル108円を割る場面も。(108円08銭までもどりましたが)

けして朗報とはいえない中東情勢に1月6日の大発会(証券取引所の年初めの取引開始日)はどう反応するでしょうか?

大発会ばかりではありませんが、世界経済を揺るがしかねない大きな問題が中東から浮上したことに懸念が高まります。

今後大きな問題ごとに進展しないことを切に願います。(なんか9.11クラスまではいかないまでも、大きなテロとか起きそうな気がするんですが!)