今ではどんな医療保険にも付加することが当たり前となった先進医療特約。

先進医療特約を付けたとしても150円前後の保険料なので、月々の保険料が極端に変わるわけでもありません。

先進医療と聞くとお金のかかるがんの粒子線治療などを思い浮かべますが、じつは日本国内でもっとも多くおこなわれている先進医療が白内障による多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術です。

年齢を重ねていくと誰もがなりやすい白内障。

白内障とは目の中のレンズの役割をはたす水晶体が白く濁ってきて、目が見えにくくなり視力も低下していまう病気です。

ごく初期の段階では点眼治療や内服薬での治療もありますが、あくまでも白内障の進行を遅らせるものであり、症状が改善したり視力が回復することはありません。

視力は悪くなかったのにこの頃視力が落ちて新聞の文字が見えづらいとか、日中外に出るとまぶしくて極端に見えづらい、視界が全体的にかすむなどの日常生活に不自由を感じるようであれば、もう外科的な手術をおこなうようになります。

一般的な手術では濁った水晶体を超音波で粉砕後取り除いて、人工的な眼内レンズを入れます。

ただこの人工的な水晶体である眼内レンズは、人間本来の水晶体と違ってひとつの焦点にしかピントを合わせることができません。

遠くの距離にピントを合わせる眼内レンズか近くの距離にピントを合わせる眼内レンズにするか、手術前に決めておく必要があります。

選択した以外、例えば遠くに焦点を合わせた場合は裸眼では、手元がぼやけて見えませんのでメガネで調節するようにします。

逆も同じです。

より遠くやより近くなどの焦点を合わせた距離以外もメガネで調節します。

遠くや近くといっても人それぞれになります。

車の運転のための遠くなのかそれとも3m先なのか、近くと言ってもスマホを見る距離なのかパソコンを操作する距離なのかなど、それぞれの目的に応じて眼内レンズの度数が変わってきます。

しかも片眼だけ手術するのか(少ないかもしれませんが)両眼手術するのかなど、さまざまなケースや左右のバランスなど考慮していく必要があります。

ここは信頼できる主治医の先生とよくご相談いただくことになります。

この単焦点眼内レンズを用いた白内障の手術はだいたいどちらの眼科さんでもおこなわれていますし、健康保険適用の手術なので極端に高額な医療費を請求されることはありません。

多焦点眼内レンズは単焦点眼内レンズをより進化させ遠近両用を可能にした眼内レンズを用いるところが特徴です。(国内未承認の三焦点眼内レンズなどもありますが)

人間本来の眼内レンズほど万能ではありませんが、外から目に入る光を遠近に振り分けることにより2つの距離にピントを合わせることができ、単焦点眼内レンズようにメガネで調整することもほとんどなく、日常生活に支障が出ないレベルまで遠近両用で視力を回復させることができます。

2008年7月に先進医療として承認され以来、これまで10年以上ものあいだ身近でもっともポピュラーな先進医療として症例数が増加していました。

先進医療なので厚生労働省の承認を受けた先進医療を実施できる施設に認定されている病院では、手術などの費用は全額自己負担となりますが術前術後の診察・検査・薬代などは健康保険適用となります。

手術費用も病院さんによってまちまちでだいたい片眼40万円前後、なかには片眼50万円以上なんて病院さんもあります。

ただ、手術費用にいくらかかろうが先進医療特約がついた医療保険であれば、一般的に2000万円までの先進医療費は実額が先進医療特約から給付されます。

それが2020年4月以降、白内障の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術は先進医療から除外されることから、いくら先進医療特約が付いた医療保険でも給付金が出ないことになります。

では4月から自己負担3割の健康保険適用の治療になるのかというとそうではありません。

選定療養といって健康保険適用外の治療になる予定です。

どういうことかといいますと、「医療費自己負担3割+差額代(全額自己負担)」。

この差額代とは入院時の差額ベッド代をイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、差額ベッド代は病院さんによって金額がそれぞれ違います。

差額代とは各医療機関での設定した費用、つまり言値です。

術前術後の診察・検査・薬代はいままでどおり自己負担3割の健康保険適用ですが、手術費用は特別料金なので先進医療同様額の手術費用が想定されます。

ゆくゆくは健康保険適用で医療費自己負担3割の手術となるのかもしれませんが、もし白内障の多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術をご検討いただいている方がいましたら、2020年4月から先進医療ではなくなりますので医療保険の先進医療特約から保険金は給付されません。

十分ご注意ください!