以前は利率の良い個人年金商品をどこの生命保険会社さんでも取り扱っていましたが、2016年1月29日に日銀が金融政策決定会合でマイナス金利導入を決定して以降、お客さまにとっても生命保険会社にとってもメリットがほとんどなくなってしまったため、最近ではメッキリ影を潜めてしまいました。

私どもで取り扱わせていただいている生命保険商品の中にも個人年金商品はあるのですが、お支払いが毎月払とか年払のような積立型の個人年金ではなく、まとまったお金を一度にお預けいただく一括払のみとなっています。

なにより利率が一昔前と比べ、それほど良いわけではありません。

私どもで取り扱わせていただいているほかの保険商品と利率を見比べても、「あえて個人年金でなくてもいいのでは?」と思うところもあります。

個人年金に関してはお問い合わせが多い商品なので、ご案内はしますがお客さまがなぜ個人年金に興味をもっていただいたのかお聞きするようにしています。

お聞きした中で出てくるワードの大半は、漠然としながらも直感的に感じている「老後不安」です。

お子さんも成長してひと段落、しかし次に見えてきた現実的な不安はご自分たちも間違いなく訪れる近い将来ということでしょう。

なかにはお子さん達が自分たちの年齢になっても困らないようにと、お子さんのためにシニア世代の方からお問い合わせをいただくケースもあります。

たしかに老後不安を払拭するには個人年金という選択もけして間違っているわけではありません。

一昔前みたいに個人年金の利率がよく、積み立てた金額が増えて60歳以降に公的年金のように2か月に1度受け取れるのであればご加入したメリットがあるはずです。

ただ、いまの個人年金は一昔前の個人年金の利率と比べると、個人年金に加入するメリットが確実に減ってきています。

先ほどもお伝えしましたが今でも個人年金へのお問い合わせは多いので、昔の伝(ツテ)を頼りに知り合いの代理店さんや生命保険会社さんに私どもが問い合わせをして、パンフレットを取り寄せてみたりした中では、何社か積立型の個人年金はありましたがどれも似たような利率でした。

利率はどちらの生命保険会社さんもあまり変わりませんが独自性を売りにしている感じで、たとえば途中から毎月の積立する金額を増やすことができたり、月々の保険料の支払いを一旦スットプできたり、ストップさせていた毎月の保険料を再開できたりなど、どちらかというと利率はあまり期待できませんが、ご加入いただいた方の利便性を図る内容を売りにしているイメージです。

それでも積立金は全く増えないわけではないので、多少は老後資金としてお役に立つでしょう。

個人年金にこだわらなければ、現在販売されている金融商品にも個人年金より高い利率を見込める商品はあります。

私どもで取り扱わせていただいている外貨建保険などはまさにその通りなのですが、生命保険なので死亡保障が必ず付きます。

「死亡保障など必要ない!老後資金の積立をしたいんだ!」とお感じでしたら、投資信託をお考えいただくのはいかがでしょうか。

投資信託には決算するごとに分配金が発生しますが、その分配金を個人年金のように受け取るというお話ではありません。

そもそも投資信託の分配金はお支払いをお約束するものではありませんし。

個人年金をお考えいただいているお客さまのほとんどは、ご自分たちの老後の生活資金に不安を感じているので何か対策をしなければと思っている方々です。

それで一昔前まで生命保険商品の中でもメジャーであった個人年金を思い浮かべたのだと考えられます。

冒頭でもお伝えしましたが日銀がマイナス金利導入を決定する以前は、どちらの生命保険会社さんでも「保障が必要なければ個人年金はいかがですか?」いう感じで利率を武器に精力的な販売をしていましたので。

そんな老後不安を抱えるお客さまの根幹にある思いは、資産形成だと感じています。

それも基本的に積立型をイメージしているお客さまです。

もちろんある程度まとまった資金で個人年金をお考えの方もいらっしゃるのですが、お子さんへの学費等の負担がようやく解消された時点では余裕資金をお持ちの方もそう多くはないと思います。

そんなお客さまの状況を考慮して将来に向けた資産形成を考えたとしたら、2015年当時のような経済状況なら積立型の個人年金という選択肢も十分あったでしょう。

いまでも商品としてありますので、利率などを重視しないで積み立てた金額分で個人年金をと考えればご利用も可能です。

それでもお客さまの将来の不安を解消すべく貯蓄性商品を真剣にご提案させていただくとき、お客さまがご負担いただく資金をより効率的に増やし資産形成を目指していただく場合、いまのところ個人年金の商品選択は私どもではほとんどありません。

積立型個人年金は将来受け取っていただく年金の原資を作る意味で保険料を積み立てていただくのですが、積立利率が1%以下では思うような成果が見込めない上、低い積立利率のまま何十年と資金が固定されてしまうからです。

老後不安を払拭するため老後資金の原資を積み立てるのならば、ほかの金融商品を選択したほうがお金を積み立てる恩恵が大きいといえます。

その中でも外貨建保険などを抜きにして純粋に老後資金の原資を作るとしたら、投資信託がもっとも有効ではないかと考えています。

もちろん元本保証商品ではありませんし積立金が変動しますが、購入時にファンド選びを間違わず分配金を受け取らない方向で購入すれば、いまの個人年金より高いパフォーマンスが期待できます。

どうしても積立型の個人年金にこだわるお客さまがいましたら、知り合いの代理店さんや生命保険会社の社員さんをご紹介しますが。

将来に向けた貯蓄をお考えなら、まずは一度、私どものお話だけでも聞いてみてください。

決してお時間をムダにはさせませんよ!

追伸、近年各生命保険会社では円建てでの個人年金の積立利率を維持できない状況が頻発しており、円建ての個人年金商品自体を販売停止している生命保険会社が多いです。

それにより個人年金商品も外貨建てが主流になってきております。