2020年2月20日、政府は2月の月例経済報告で日本景気の現状ついて「緩やかに回復している」との以前と変わらない基本認識を示しました。
2020年2月17日に2019年10月から12月にかけてのGDP(実質国内総生産)成長率が市場の予想を大きく下回る年率換算で6.3%減のマイナス成長を公表したにもかかわらず、相変わらずのズレた認識を見せています。
日本国内でも歯止めのかからない状態で日ごとに新たな感染者が報道される新型コロナウィルスが経済に与える影響も危惧される中、あまりにも楽観的なこの政府認識は逆に日本政府が苦境に立たされていることを物語っているようにも思えます。
奇しくも国会で2020年度予算案を審議中であり、その2020年度予算案は実質1.4%ほどの経済成長率することを見込んで編成されており、もしこの経済成長率が見込めないとなれば予算案をもう一度組み直すこととなります。
そのうえ経済最優先を掲げる安倍政権での肝いりの消費税増税が原因で日本の景気が後退したとは言えるわけもなく、やむなく「緩やかな回復基調」と表現せざろう得ない事情があったのでしょう。
ただ、日本国内だけに目を向けると政府が公表した景気動向の認識はそれほどインパクトを与えるものではないかもしれませんが、ちょっとグローバルな感覚で世界の中の日本という視点から見てみると、先週あたりから世界の中で日本がおかれた状況が変わっていきていることに気づかされます。
本日2月24日は令和初の天皇誕生日の振替休日ということもあり、日本の金融市場はお休みとなっていますが、主要国の金融市場は通常通り取引がおこなわれています。
前回のブログでも掲載してみましたが、先週は為替相場でいままでにない異様なドルの高騰が見られました。
じつは2月21日のNYダウは前日比227ドル59セント安の-0.78%で引けました。
米国債利回りにいたっては1.472%まで落ち込み、有事に資金が集まる金(ゴールド)相場は異常な高値を付けました。
どうみてもリスク回避の円買いが見られるのかと思いきや、前日や前々日と比較して多少円高には振れましたが111円中盤での引けとドル高基調はかわりません。
いままでのセオリーを覆すビックリするようなドルの高騰にこの週末いろんな意見が飛び交いましたが、本日24日は日本市場が休日ということもあり日本の金融資産に見切りをつけた「日本売り」なのかは判断しかねるところがあります。
本日24日、ロンドン市場が始まって1時間ほど経過した18時現在では、なんとNYダウ先物が605ドル安のマイナス2.24%で推移しています。
米国債利回りまでもがあまり見たこともない1.39%。(ここ数年1.4%を下回ったことがなかったので、初めてこの数字を見たかもしれません)
金(ゴールド)先物は脅威の2.36%上昇。
投資家の心理状態を表すというVIX(恐怖)指数は23.40。(指数が14を超えると相場の不透明さから株が売られすぎてしまうといわれています)
どうみてもいまのところ堅調とは言い難い金融市場において、さぞかし円高なのかと思えば、それほどでもない111円26銭。
これだけネガティブな要素満載なのにドルあまり極端な落ち込みを見せません。
今日のニューヨークオープンを待ってどのように動くか、そして明日からの東京市場で日本株が売られ始めその売りが数日持続するようだと、日本の円資産を売りアメリカのドル資産を安全資産として捉え始めたことになります。
もし日本の円資産から資金を引き揚げる「日本売り」だとすると、今後の日本にとって非常に厳しい時代の到来となってしまいますが。
事態を把握するには明日以降の為替や日経平均株価などを注視する必要がありますが、このまま一方的に円売りが進むことのないよう願ってしまいます。(一時的な流れだといいですが)
そして皆さまの資産も円建ての資産ばかりではなく、上手に分散させることお薦めします。
でないと日本の景気が本当に衰退へと向かった時、日本の円建て資産は価値を落とし近い将来での物価上昇などに対応しないことが想定されるからです。
日本は自給率の非常に低い国ですから。