そう、あれは2020年2月19日から20日にかけての、円に対してドルが然したる理由もなく突如2円ほど爆上げしたところから、いまに至る金融市場での異変が始まったような気がします。

消費増税からの景気低迷がささやかれる中、新型コロナウイルスの感染拡大が徐々に経済へと侵食し始め日本経済が危ぶまれているさなか、意外にも堅調なNYダウや日経平均株価に違和感を覚えていた時に突然やってきました。

突如ドルが急騰、いままで110円台前半を付けるのがやっとのドル/円が、いとも簡単に111円を突破し最終的に1ドル112円40銭台を付けることに。

このドル急騰、強いドル需要に支えられた「有事のドル買い」の側面もありましたが、21日以降からズルズルと値を下げていきます。

クライマックスは営業日にして12日後の3月9日、東京市場の午前11時すぎ、円に対してドルが驚異的スピードで値を崩し出します。

あっという間に円高となり、この時付けた最安値が1ドル101円16銭。

この後為替市場では再びドルが買い戻されたのですが、この東京時間でのドルクラッシュが合図だったかのように、今度は株式市場で驚異のジェットコースター相場が始まることとなります。

ニューヨーク株式市場では毎日1000ドル以上の変動は当たり前、時には2000ドルを超える上げ下げを見せる日も。

「史上初」という言葉が何度も飛び交います。

3月9日以降、株式市場での相場の流れは売り圧力が圧倒的に強く、NYダウにしても日経平均株価にしてもどこが底値なのかがわからない状態が続き、個人投資家たちを大いに困惑させました。

4月に入り新型コロナウイルスの感染拡大は各国で深刻な問題に発展していくにもかかわらず、なぜか株価は持ち直した感がでてきたのですが、今度は思わぬところで前代未聞の出来事が発生します。

極端なエネルギー需要の減少を背景に、原油先物市場では大幅な原油安に陥りますが、4月21日にはとうとう原油先物市場で原油先物価格が-40ドルの事態となりました。

これは簡単にいうと5月限の原油価格に値段がつかないどころか、「1バレルの原油につき、40ドル支払う」という、こちらも史上初の状況です。

その後原油価格は戻ってきましたが、2020年の2月から4月にかけて新型コロナウイルスの感染拡大が巻き起こした金融市場での波乱は、相場自体に想像をはるかに超える強烈なインパクトを残しています。

sell in may(株は5月に売れ)。

ウォール街で言い伝えられている有名なアノマリーですが、各国が発表する各経済指数や金(ゴールド)先物相場が物語っている通り、実体経済は金融緩和したとはいえNYダウや日経平均株価が示している価格よりもかけ離れている気がします。

奇しくも5月、緊急事態宣言も延長され新型コロナウイルスの収束にはほど遠い状態にも思えますので、金融市場とくに株式市場においては、また一波乱も二波乱もありそうな気もしますが。

はたして今後の金融市場は?

まだまだビックリするような出来事が起こるかもしれませんよ!

追伸、sell in may(株は5月に売れ)のアノマリーには続きがあり、内容はだいたいこんな感じです。

「株は5月に上がる。だから売っとけ。その後株価は軟調になる。9月の第2週目までは株式市場に戻ってくるな!」

いまの金融市場はどんなことが起きるか、まったく予測できません。