5月29日に法案が成立した「年金制度改革関連法」、パートさんなどの短時間労働者への厚生年金適用がメインでしたが、もうひとつ注目すべき内容があります。
いままでは60歳から70歳までの間で公的年金の受給開始年齢を選択できましたが、2022年4月からは年金受給開始年齢が60歳から75歳までに選択幅を広げました。
もしかりに66歳以降からの公的年金受給開始を選択すると0.7%ずつ上乗せされ、75歳の受給開始を選択すると月額84%増となる見込みです。
それにあわせて、働きながら公的年金を受給する「在職老齢年金」に関しても、会社勤めの60歳から64歳の方が「月収28万」以上収入があると厚生年金が減額していた部分を、65歳以上と同様に「月収47万円」以上に改正しました。
この年金受給開始年齢の5年拡大と在職老齢年金の収入条件見直しから見えてくることは?
たぶん日本政府では公的年金受給開始年齢になったからといって、公的年金を受け取ってもらいたくないのでしょう。
公的年金を受け取るなら70歳以降になってからにして欲しい。
なぜなら給付金額がいまの水準と比べて低くなる可能性が強いから。
60歳代から公的年金を当てにせず、70歳以降まで働けるうちは働いて自助努力してください。
今更ながらそんな風にも受け取れます。
いまは新型コロナでかき消された印象が強いですが、昨年のいまごろは奇しくも「老後2000万不足」問題が世間をにぎわせていました。
2020年6月5日、厚生労働省が公表した2019年の出生数は86万5234人、出生率は1.36で4年連続の減少傾向に。(前年と比べ5万3166人の減少)
公的年金を支える現役世代が圧倒的に少ない未来。
家族や生活のために40年以上も懸命に働き、いざ公的年金の受給開始年齢になっても税金や物価上昇などで、公的年金だけの収入では生活が大変。
やむを得ず65歳を過ぎても働かざるを得ない。
「シニア世代の悠々自適なスローライフ」、そんな世界はもはや過去の幻想に。
新型コロナが収束しても、決して日本の未来が明るいわけではないことを皆さまお忘れなく。
そして対策できることも。