ジョー・バイデン氏が民主党の指名候補者として正式に決まり、いよいよ本格化するアメリカの大統領選。

2021年以降、アメリカという世界屈指の超大国のリーダーは2期目に入るアメリカ至上主義というより白人至上主義のような思考で熱狂的な支持者を持つドナルド・トランプ氏なのか、それとも穏健中道派のジョー・バイデン氏なのか。

どちらが就任しても今後の未来を左右するだけに、これからの約2か月あまりに全世界が注目しています。

振り返ってみれば4年前、圧倒的有利と思われた民主党候補のヒラリー・クリントンを退け、前代未聞の政治経験のない企業経営者のドナルド・トランプ氏がアメリカの大統領として選ばれたのが2016年。

いまでも覚えていますが、ドナルド・トランプ大統領が決まった11月から年末にかけて未知なる期待感から株も為替も爆上げ。

2017年1月に第45代アメリカ大統領に就任後、「どんなアメリカになるのだろう」と全世界が固唾を呑んで見守っていました。

2017年12月、法人税の大型減税がアメリカ議会で可決承認され、またもや株や為替が爆上げ。

トランプ大統領の登場に世界は歓喜します。

しかし、このときがトランプ大統領が一番称賛された瞬間だったかもしれません。

喜びも束の間の2018年1月初め、連日更新するNYダウの史上最高値をよそにアメリカ国債は売られまくり、とうとうアメリカ10年債の金利が3%をあっという間に超えてしまいます。

この過熱ぶりにアメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)が、行き過ぎた市場を抑え込むため政策金利の引き上げいわゆる「利上げ」をおこない、今度は一気に株や為替が急落。

2018年2月の「温床相場の終焉」といわれる暴落劇を巻き起こしました。

その後、トランプ政権での重要なポストにいた側近たちが次々に辞任あるいは解雇されていきます。

2018年時点でトランプ政権のブレーンたちがなぜ離れていってしまうのか、ちょっと不思議でしたが後々わかり始めます。

トランプ大統領は選挙公約に掲げた政策を実現しようとしました。

そして2018年12月22日から翌年2019年1月25日までの35日間、政府機関が閉鎖に追い込まれる事態が発生します。

原因はアメリカ議会で可決承認された予算案に「メキシコ国境に壁を作る」予算が含まれていないため、大統領として「法案署名の拒否権」を発動したためです。

この件に関してはアメリカ議会での2大政党である政権側の共和党と、2018年の中間選挙においてアメリカ議会下院の過半数を獲得した民主党の間で、幾度となく協議が繰り返されてきましたが膠着が続き、最終的には国民生活や企業活動に影響がでてきてトランプ大統領への不満が高まっていったため渋々トランプ大統領が折れた形です。

そのためメキシコからの移民を防ぐための「メキシコ国境の壁」は出来上がっていません。

この時の経済損失が110億ドル(1兆2200億円)ともいわれております。

もちろんこの「メキシコ国境の壁」問題で株も為替も急落。

しかもアメリカ国民にとっては大切なクリスマスシーズンの出来事でもあり、金融市場では2018年12月のトランプ大統領からの「最悪のクリスマスプレゼント」と揶揄されました。

そんな中もう一つの選挙公約でもある貿易赤字の解消も次第に暗礁に乗り上げていきます。

アメリカと貿易相手国でもあるEU諸国の鉄鋼などに対し一方的に関税を突き付けてEU諸国の反感を買いながらも、最大の貿易相手である中国に対してもさまざまな条件を提示して有利な交渉を進めようとします。

ただ相手は一党独裁ともいえる中国共産党指導部、2019年4月まではお互いスムーズに協議が進んでいるようにも見えましたが、5月に入り突如中国側がいままでの交渉条件を覆しアメリカ側に新たな要求を出し始めました。

「話が違う」と切れだしたトランプ大統領。

そして始まったのが2019年5月からの、アメリカと中国の間でおこなわれたノーガードでの関税の打ち合い。

そこに日本ばかりではなく全世界が巻き込まれていきます。

2019年5月からトランプ大統領が突然手の平を返したように中国に融和な態度を取り出す2019年12月まで、全世界の経済を停滞させたのはトランプ大統領のアメリカと中国共産党であることは紛れもない事実です。

今現在でもアメリカと中国間の貿易協議は第1段階の合意にとどまっており、その後なんら進展もありません。

2020年に入り新型コロナのパンデミックが発生、その対処に追われる日々が続く中、自国経済の立て直しに躍起にならざるを得ない状態のうえ大統領選もあり、発言を見る限り米中貿易協議どころではなさそうです。(人種差別問題も浮上しましたし)

大統領選に関してはいまのところバイデン候補有利との声もありますが、4年前も「まさかトランプ大統領はないよね!」と日本国内でも10月終わりまで囁かれていましたので、本当のところは11月3日にならないとわからないのが本音だと思います。

もしトランプ大統領の再選が決まったら?

就任初期にトランプ政権を支えたであろう各分野のスペシャリストともいえるブレーンたちは、トランプ大統領が選挙公約を実行しようとしたとき、アメリカあるいは全世界に及ぼす影響をある程度予測ができたのだと思います。

それ故に今はトランプ大統領の元にはいないのでしょう。

それでも最後の任期にトランプ大統領は公約を実行しようとするならば、2021年以降はそれまでが助長のようなさらなる激動が待っているかもしれません。

もっとも、どっかの国の都知事選のように公約だけ掲げて実行しないよりは、選挙公約を実行しようとするだけ、ちょっとトランプ大統領にも信頼が持てますが!