メットライフ生命が生まれたアメリカには公的医療保険制度がありません。
盲腸程度の手術で入退院ともなれば500万円ほどの医療費を請求されるともお聞きします。
アメリカ国民すべてに保険会社の医療保険に加入するよう推し進めた「オバマケア」も、トランプ政権の誕生によって撤廃となりました。
そんなアメリカ人にとって、もし民間保険会社の医療保険に加入していなければ、「病気になる」ということは生きるか死ぬかの死活問題。
それこそ「悪性新生物(ガン)」などと診断されれば、医療保険に「加入している」か「してない」かが生命線となってきます。
ですので、アメリカ人は日本では考えられないほど頻繁に検診や健康診断を受けるといわれています。
もともとが病気に対して非常にシビアな考えを持つ国柄、いまの新型コロナへの対応にも神経質すぎるとも思えるような過敏な反応を見せるのもそのためです。
ある程度の富裕層を除けば、病気になってしまうという事への危機感が非常に強く、病気にならないよう自分自身で守らなければ誰も守ってはくれない。
病気なってしまったら、お金がないのでもう死ぬしかない。
生きていく過程でそのように教訓として刻まれているのかもしれません。
かたや日本はというと、毎日毎日新型コロナの感染者が増え続ける一方なのに、政府が推進する「GoToキャンペーン」は新型コロナの感染拡大が著しい札幌や大阪などを除けばいまだに継続中。
医療現場では悲鳴にも似たひっ迫した声が上がり始めているのに、「こんな時期に誰が旅行にいくんだー!」とほとんど日本人が思っているのではないでしょうか。
もうすぐアメリカではファイザー製薬のワクチンが緊急使用許可が出そうな時期に、しかも日本にも発送され厚生労働省に使用許可を申請しているときにです。
GoToキャンペーンを一旦停止して、日本でもファイザー製薬のワクチンが有効だと認められてから再開すればいいだけなんじゃない!と強く思ってしまうのですが。
今のところ新型コロナは国の指定感染症に認定されているため、医療費だけでなく差額ベッド代など自己負担分は一切ありませんが、その指定感染症がゆえに軽症者までもが感染症法に基づいた措置が取られ、医療現場だけでなく保健所などの業務にも多大な影響を与えています。
もし新型コロナ以外の、ほかの病気の重症者をケアするため、指定感染症の認定が外されたら?
もちろん自己負担3割の医療費が請求されるでしょう。
そのほかの差額ベッド代や食事代などは全額自己負担となります。
それよりも、指定感染症から外れて新型コロナに感染してしまったとき、普通に病院で診察してもらえるんですかね?
指定感染症から外れてから新型コロナに感染してしまった場合、病院は受け入れてくれるのか非常に不安なところもありますが、ほかの病気の重症者に手が回らない状態がもうきているので、新型コロナを指定感染症から外そうとする議論も繰り返されているのは事実です。
「命と経済どっちが重要なんだ?」と日本政府に問いかければ、「どっちも重要!」と答えが返ってきそうですが、いずれにせよ今後は新型コロナに限らず病気になるということに対して、アメリカ人的な思考が必要となってきたかもしれません。
人口減少や高齢化社会など成長度合いの少ない日本において、いまのところ医療費の自己負担は3割ですが、これから医療費の自己負担が4割や5割になるときがいつやってきてもおかしくない状況ともいえます。
「新型コロナの感染防止」と「GoToキャンペーン」。
そんな相反する日常を両立させようとする日本を私たちは生きていますから。