2008年9月、アメリカ大手証券会社および投資銀行のリーマンブラザーズが経営破綻したことを契機に、全世界へと不況の波が飛び火した未曾有の金融危機「リーマン・ショック」。

ただ日本ではそのリーマン・ショックよりも以前からすでに政府や企業による海外債券や外国株式、海外企業への出資・買収など、対外純資産への投資が非常に目立つようになっていきます。

それは2020年で29年連続、世界でもっとも対外債権を保有している国にまで発展してきました。

とりわけ米国債の保有高は大きく、リーマン・ショックにより各国の国債利回りが急速に低下し、債券や株式などの証券保有から企業の買収や出資などの直接的な投資が増えたとはいえ、それでも米国債保有高は2020年9月時点では世界で1位です。(以前は中国の米国債保有額が大半を占めていましたが)

じゃあなぜ日本は海外へ目を向けるようになったのでしょうか?

それはリーマン・ショックがあろうがなかろうが、バブルの崩壊した後の日本において縮小していくばかりの国内の投資環境では期待するだけの投資収益は見込めないと、政府も企業も判断していたからです。

しかもバブル崩壊10年後の平成十年代には今と同じように少子高齢化が叫ばれ、公的年金の確定給付神話も崩れかけていました。

約30年前からもうすでに政府や企業では、日本国内の投資環境では好機を得ることが難しいことに気付いていたともいえます。

同様に今後国内で期待するだけの消費需要も望めないことも。

成長が期待できないどころか価値の下がりつつある円資産よりも、経済活動が活発な海外市場に目を向けた方が中長期的にみれば収益を確保しやすい。

そして縮小する国内マーケットよりも一大消費マーケットがある海外へ。

こんな日本人自体が日本にはあまり期待しなくなった現状が約30年前から始まっています。

そして2020年、中国 武漢から始まった新型コロナウイルスによる世界的規模のパンデミックにより、既存の経済活動が制限されるようになり生活様式も変化してきました。

この新型コロナウイルスのパンデミックによる経済損失はリーマン・ショックを2020年10月時点ですでに上回り、財政出動された金額もリーマン・ショック時をわずか3か月で更新しています。(リーマン・ショック時の日本のGDP対前年比が-5.4%に対して、2020年10月時点で日本のGDP対前年比は-6.1%)

もし、ここから失われた経済損失を取り戻し経済活動の復興を期待するとすれば、日本とアメリカどちらが早いと思いますか?

そしてこれからの10年、資産形成を考えたとき日本の円資産に期待できますか?

もしかすると巷で囁かれているように、新型コロナの収束後には今回の巨額な財政出動の穴を埋めるべく、大増税が待っているとしたら?

新型コロナでの経済的ダメージは政府だけでなく企業も同じこと。

少なくても収入のアップは見込めないかもしれないところに、支出は増えていくような生活環境。

しかもそれがずっーと続くようなことになれば。

そのためにも今の内から10年後やその先も予測して、それに合わせてお手持ちの資産あるいは増やす方向で資産形成できる積立など、今後やってくるかもしれない今とは違う支出にも対応できるような準備が必要ではないでしょうか。

ほとんどのことを日本語と日本円でまかなう日本人ですが、こと収益確保に関しては約30年ほど前から日本市場を主軸としなくなってきた政府と企業。

そして経済活動を支える人口が減り続けていく日本。

リーマン・ショックの後遺症は各国で確かに大きかったのですが、アメリカでは2015年あたりから政策金利を上げ始めているのに対し、日本は2016年に経済活性化のためマイナス金利を導入など明らかに経済活動での開きが現れています。(東日本大震災もありましたが!)

リーマン・ショックの教訓は「1つのバスケットに全ての卵を入れるな!」。

いわゆる資産は分散したほうがいいという分散投資の教えです。

日本に生きている限り日本円を持っていないわけにはいきませんが、日本の円資産ばかりをあてにしていると、海外資産に投資した方と比べ10年後に資産形成で差が出てくることは間違いないと思いますが。

それともこれからの日本に期待しますか?