季節は Sell in May (セル イン メイ)。

「株は5月に売れ!」のアノマリー通り、ゴールデンウィーク明けの5月第3週目から日経平均株価やNYダウを始めナスダックにS&P500などの主要株価指数には、今まで着実に上昇し高値圏をキープしていたレートに下降トレンドらしき落ち込みが見え始めました。

もともと経済活動の活性化や企業業績の好調からくる株価の上昇とは一線を画し、新型コロナでダメージを負った経済面を補うため、各国がおこなった金融政策から発生した「過剰資金」が株式市場や商品先物、果ては仮想通貨まで流れ一種の「バブル相場」を作り上げていました。

故にインフレ懸念が高まってきたのも事実。

こんな時にそろそろテーパリング(金融緩和を徐々に縮小すること)などの言及が各国の中央銀行の要人あたりから聞こえ出すと、金融市場の過熱感も徐々に収まってくることになります。

そして、昨年から始まった新型コロナが巻き起こした景気の低迷で各国がとった金融政策は、いままであった金融相場のセオリーまで変えました。

本来、株価が高騰すれば金(ゴールド)価格は下落するもの。

それが、株価が上がれば金(ゴールド)価格もいっしょに上がるなど、今まで見られなかった現象が頻繁におこります。

そのうえ、最近では株価が下がれば円高になることも少なくなりました。

それどころか為替相場は株価が落ち込む局面で、ボラティリティ(変動率)の高い「ユーロ」や「ポンド」が買われるなんてこともおきています。

「株と為替に相関性はない」とは言われますが、過去を振り返れば株価の急落がおきれば円高に傾くのは周知の事実。

それが5月第3週目から始まった株式市場での下落局面、つい数年前だったら一気に円高方向に傾きそうな場面ですが、殺人通貨でお馴染みの「ポンド」が急騰。

ポンド/円やポンド/ドルにおいてポンドの価格が急激な上昇を見せ始めます。

そのボラティリティ(変動率)の大きさからFXトレードでは、コアなトレーダーに人気のイギリス通貨「ポンド」ですが、国情をみればいつも波乱含み。

揉めに揉めた「EU離脱」が何とか形だけでも整ったと思った矢先に新型コロナのパンデミックがやってきて、2020年終わりからはイギリス国内で英国型の新型コロナ変異種が驚異の大流行。

そのうえ最近ではスコットランドの議会選挙で独立とEU回帰を唱えるスコットランド民族党(SNP)が圧勝するなど、イギリスの行く末にまた混乱が起こりそうな雰囲気を漂わせますが、こと新型コロナ対策では非常にラディカルな対応をおこなっています。

そう、ロックダウン(都市封鎖)です。

5月12日に発表されたイギリスの1月から3月にかけたGDP成長率は、前の3か月と比べ-1.5%。

年率換算でいくと-5.9%とユーロ圏の国やアメリカと比較しても非常に悪い数字にはなりますが、これは4か月にもわたりロックダウン(都市封鎖)していたため。

そして厳しい規制とともにワクチン接種を精力的に推し進め、4月中旬に入りようやく店舗などが営業を徐々に再開し、今はイギリス全土で経済活動が戻りつつあります。

「状況が悪化しそうだから対策を考える」ではなく、「状況が悪化しないよう事前に対策を打つ」。

んー、なんかライフプランニングに通じるような。

6月に入ればイギリスは全土で規制を解除し、飲食業や小売業などの経済活動を本格的に再開する予定です。

このロックダウン(都市封鎖)は冬の経済活動を完全に捨て、夏ぐらいからイギリス経済を回復に向かわせ、年末には2020年2月あたりまでの経済水準に持っていくためのシミュレーションのもと慣行されました。

イギリスの判断は正しかったのか時間が経過してみないとわかりませんが、毎日毎日新型コロナの感染者が増え続けるばかりの日本と比較して、国として新型コロナの感染対策においては「英断を下した」ことに間違いはないでしょう。

新型コロナの感染対策を我が国日本でも打ってはいるのですが、グローバルな視点からすれば「今一つ感染対策に踏み込めない国」と映っているかもしれませんし、そんな国の通貨に株価が急落したからといって今までのようなリスク回避の円買いは、「今の日本円は国際的に見ても信用度の低い通貨」と捉えられ敬遠されるのもわかるような気がします。

最終的には「老後資金2000万不足問題」が出てきた時のように、今の日本の現状からすると新型コロナへの感染対策も「国はやる事やったから、あとは自己責任で何とかしなさい」につながっていく気がしますが。

皆さま、新型コロナには十分気をつけましょうね!

そう、「だからあの時言ったじゃない。気をつけろって!」と国から言われないために。

そうそう、新型コロナが落ち着いたら「老後資金対策」も。

新型コロナが落ち着くのは何年後になるか、日本ではまだ見えませんが!