ながらく参加させていただいたいわき市のレーシングチーム「TNA japan」が代表の逝去のため、惜しまれつつも昨年12月末に解散となりました。
私どもは実際に競技車両を運転し公式のレースに参加したことはありませんが、ほとんどのメンバーはA級ライセンスを取得し全日本ラリー選手権やダートトライアル、ジムカーナなどに参戦していた、あるいは現役でレース活動をしているバリバリの猛者たちです。
一度だけタイムトライアルではなく、いかに規定時間通りに走るかを競うアベレージラリーにコ・ドライバー(ナビ役)として参加して、チームから補佐役が付いてくれたので無事にゴールできましたが、もしいなかったら無事にゴールまでたどり着けたかわかりません。
なにせ、全く知らない街中や林道の要所だけ書かれた途切れ途切れ地図と、この区間を何キロで走りなさいと書かれた指示表(規定時間より速くても遅くてもダメ)だけ渡されて、より規定時間内にゴールできたかを争う競技。
なんどもドライバーへの指示を間違え、幾度となく知らない街中や林道をバックしたり曲がり角へ戻ったりなどを繰り返す始末。
ナビゲーションシステムを使うなんて、もちろん違反です。
渡された地図、指示されたスピード表、トリップメーターだけが頼り。
散々迷いましたがいま思えば、あれはあれでけっこう楽しかったような。
そんな経験もしながらTNA japanに参加させていただいて最も大きな活動が、毎年おこなわれていた全日本ラリー選手権のスタッフです。
そのためライセンスも取得しました。
私どもはコースの警備や観客の誘導などが主でしたが、コースに入ればギャラリーステージでも見ることができない、スポンサーの名前を背負ったレーシングドライバーのコンマ1秒を削るマジの走りが目の前で繰り広げられています。
あれはホント、もう非日常の世界です。
土砂降りの雨の中。
奴田原選手が駆るアドバンカラーのランエボⅨが、泥をはね上げながらコーナーを抜けていく、「これぞラリー!」と唸らせるようなカッコイイ走行シーン。
そして、通り過ぎたあとは土砂降りなのに強烈なゴムの焼けた匂いとコーナーを抜けていったときのキレイな轍。
ナイトラリーに突入したとき。
何も見えない暗闇の中に、吸気音とともに突如現れた4つの火の玉。
正体は驚異のハードブレーキングにより熱され、あたかも燃え盛るマグマのように赤やオレンジにうごめきながら近づいてくる4本のブレーキローター。
ディフェンディングチャンピオン、カーナンバー1番の勝田選手が見せたインプレッサのブレーキローターです。
全日本ラリー選手権に参戦していた「哀川 翔」選手のカッコよさ。(走りには触れないでおきます)
クラッシュシーンも。
もっともっと印象的なシーンはありますが、だいたいが日常生活の中では見ることができない特殊な光景ばかり。(クルマ1台がやっと通れるような林道を、砂利を巻き上げながらコーナーをドリフトしていく光景なんて普通は見れないでしょう)
すべてその瞬間に立ち合っていなければ見ることができない非日常の光景。
いつも全日本ラリー選手権が6月に福島でおこなわれていたことを、ふと5月の終わりを意識したときに思い出し、代表とお世話になったTNA japanのみなさん、そして非日常の記憶を感傷にふけりながら甦らせていました。
TNA japanに縁あって参加できたこと。
そして、いつもにこやかに話しかけてくれた代表に感謝します。
代表、安らかに。