「菅首相の電撃辞任」発表から一夜明け、9月3日の株式市場を振り返ってみれば、前日比584.60円上げとまさかの日経平均爆上げ。
その前日9月2日、あるいは9月1日などの日経平均を見てみても、然したる好材料があったわけでもないのに、なぜかしっかり上昇しています。
「もしかしたら、金融市場は知っていた?」、
と思わせるくらい、今週の日経平均株価はリスクオン態勢。
アメリカ3指数はジャクソンホールでのFRB パウエル議長の「テーパリング」観測にも動じることなく、上がれば史上最高値をたたき出すような上昇トレンドの中なのに、数か月前から、その流れに逆らうように今までズルズルと後退していた 我らが日経平均 も、ここにきて不思議と息を吹き返してきました。
いくらサマーバケーション明けで相場参加者が戻ってきたといっても、ざっと見渡してもまだまだ「新型コロナ」の影響が色濃く残っているような日本国内。
もう最近では日銀がETF(日経平均株価指数に連動する上場投資信託)を購入して、株式市場を下支えすることもなくなったのに、今週の日経平均は異常な盛り上がりを見せています。
そこに拍車をかけたのが、突然の「菅総理、自民党総裁選へ不出馬」の発表。
この報道をうけ、日経平均が2か月ぶりの29,000円台突入と円安方向に傾く結果となりました。
もう新型コロナに悩まされて早1年半以上。
そして昨年9月、同じように突然辞任した「安倍首相」に代わって登場したのが「菅政権」。
その菅政権も、日本国内ではそれほどラディカルな新型コロナ対策がおこなえないまま、人々の行動制限とワクチン接種に頼らざるを得ない状況と、それでもなお新型コロナの感染者が増え続け、医療体制を維持できるかできないかの瀬戸際まで追い込まれ、たび重なる制限に飲食店などからは、悲痛な叫びが鳴り止まなかったのが今の日本。
そこに、降ってわいた「菅首相の辞任」発表。
そして日経平均の爆上げ。
それだけ我慢を虐げられた人々が、今とは違う新しい現実を待ち望んでいるのでしょう。
ただ、それも幻想に終わらなければいいですが。
Buy the rumor, sell the fact!
「噂で買って、真実で売る!」。
昔からある相場の格言です。
期待が大きいほど、事実はそれほどでもないかもしれません。
10年前、あの「100年安全」と言われた福島県双葉郡大熊町にある「福島第一原発」が、東日本大震災による津波の影響で壊滅。
その当時の政権は民主党政権。
実際、福島第一原発がいくら爆発しようとも、対処法がわからなかったのが現実。
そしていま、未知のウイルス「新型コロナ」と出口の見えない攻防戦の真っ最中。
まだまだ新型コロナに有効な手立てが揃わないまま、人類とウイルスとの存亡をかけた戦いは長期化しています。
もし新しい自民党総裁を柱に、今後控えた「総選挙」でも自民党が過半数を獲得し政権を樹立しても、それがいまの新型コロナに打ち勝ったことにはなりませんから。