いま、アメリカをはじめEU圏などで検討されている経済的な風潮は「金融緩和」ではなく、「金融引き締め」です。

2020年初頭から始まった「新型コロナ」のパンデミックに対処するため実施された「量的金融緩和」。

その効果がGDPなどの各国経済指標として数字で表れ始めたことで、当初予定した金融緩和期間を待たずして、金融正常化に向けた議論が各国中央銀行で明確におこなわれ始めました。

数字上、着実に経済回復が見込まれたことで、いままでおこなっていた銀行からの「資産買入れ」を減少させても、現状が維持できると判断したことになります。

アメリカでは9月第1週目に発表された「雇用統計」がすこぶる悪かったものの、7月ごろから中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)で、量的緩和の縮小についての協議が本格的にはじまり、雇用状況を見極めながらも年内には「テーパリング(金融引き締め)」がおこなわれるかとが予想されています。

ECB(欧州中央銀行)も9月9日の定例理事会において、金融緩和の縮小を明言。

いまのところ、FRB(米連邦準備制度理事会)もECB(欧州中央銀行)も、金融緩和の縮小をいつからおこなうのかについては発表されていませんが、今年中にはほぼ確定とみられています。

ECB(欧州中央銀行)にいたっては、EU圏のGDP成長率や物価上昇率がECB(欧州中央銀行)の予想をはるかに上回っているだけに、案外近いかもしれません。

アメリカでは次回11月におこなわれるFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)で、「テーパリング(金融引き締め)」の時期について何らかの発表がなされることが有力視されています。

このように、世界の金融市場を左右するアメリカとEUでは、着実に金融市場に流れる資金量を抑えようとする動きが鮮明になってきました。

そうなれば、次は政策金利の引き上げ「利上げ」がクローズアップされてきます。

未知のウイルス「新型コロナ」がもたらした世界的な金融緩和の流れで、世の中、とくに金融市場に流れた資金は10数年の「リーマン・ショック」の比ではありません。

はるかにしのぐ流通量です。

しかしこの世界的な風潮は、経済活動の正常化とともに今、振り出しの2020年以前まで戻ろうとしています。

だとしたら、

強すぎた NYダウやナスダック、S&P500 も年内がピーク?

それとも、株式市場は織り込み済みなので、それほど影響ナシ?

どちれにせよ、いまごろ自民党総裁選で、各候補が新型コロナに打ちのめされた経済を立て直そうと大規模な経済政策を掲げていますが、もう日本以外の先進国は次のステップに移行しようとしています。

新しい日本の政治に期待する意味で、特別大きな経済政策に乗っかったわけでもない日経平均株価は、現在、30,000円越えをキープしています。

これはいつまで続くか?

けして自立反発しているわけではない日経平均株価は、そのうち大きな下落が起きそうな。

もともと金融政策面で世界的な潮流からは外れ、しかも、さしたる成果が見込めない日々が続いた日本では、新型コロナ問題をはじめ政局や経済政策だけでなく、クリアすべき課題が山積されています。

新型コロナが収まっても、まだまだ明るい話題は遠そうですが。

まさか、新しい政権が誕生しても、アメリカ並みの1兆9000億ドル(約200兆円)規模の経済政策は、今後を考えれば日本では打てないでしょうから!