2021年11月26日、WHO(世界保健機関)が南アフリカで見つかった新型コロナの変異株を「オミクロン株」と命名し、全世界に公表。

既存の新型コロナワクチンが「オミクロン株」の登場で、その有効性について疑問視される中、一報を受けた金融市場は完全にリスクオフ。

いままで金融緩和の恩恵を受け、通常の市場原理とは別のところで動いていた金融市場も、この時ばかりは株や為替だけでなく、強すぎた原油先物あるいはゴールド(金)などの貴金属市場、大豆などの穀物市場、果ては仮想通貨にいたるまで、すべての投資性金融商品が一斉に「売り」に転じ、各相場は世紀末の様相。

あらゆる投資性商品がすべて下降曲線を描いた記憶に残る一日となりました。

少なくても日本では、そろそろ新型コロナの警戒心がだいぶ薄れていただけに、この新型コロナの変異株「オミクロン株」の確認は、再び得体の知れない未知のウイルス登場で、2020年3月ような日常生活を脅かされるイメージを彷彿させるだけの強烈なインパクトを残していきます。

金融市場はいつの時代も、その「市場の低迷リスク」をいち早く敏感に察知し、すぐさまその反応が市場に表れます。

そして、もうほとんどの人々に知れ渡る頃には、すでに相場の方向性は決まっているような。

これが金融市場。

ただ実際、この「相場の落ちこみ」がなければ、皆さまがご利用いただいている積立型の投資信託も変額保険も、資産の成長は見込めません。

ドルコスト平均法を利用し毎月コンスタントに、同じ金額分だけファンドを買付けていくのが積立型の投資信託あり変額保険ですが、ファンドの買付け金額が毎月おなじでは資産の増加はありえません。

ファンドの買付け金額が「高い」ときも「安い」ときも買っていくからこそ、買付け金額のブレが平均化されていきますが、とくに値が落ち込んだ時があるからこそ資産は増加していきます。

そして積立の場合、ファンドの買い付け価格が落ち込めば落ち込むほど、ご利用者さまとって有利に働いていきます。

たとえば、毎月10,000円で積立の投資信託を買っているとします。

ファンドの買付け価格が1口15,000円だと、

10,000÷15,000円=0.66666・・・・・

なので、ザックリいうと0.6口しか買えません。

それがもし、ファンドの買い付け価格が5,000円だったとしたら、

10,000円÷5000円=2

で、2口買えます。

もし10年間、積立の投資信託を毎月10,000円ずつ購入し、10年間のファンドの平均購入単価が6,000円だったら、

10,000円×120か月=1,200,000円

1,200,000円÷6,000円=200

になりますので、10,000円で10年間にわたり積立で投資信託を購入した場合、ファンドの平均購入単価が6,000円だとしたら、ファンドを200口保有していることになりなす。

このケースでお話すると、ファンドを売却するとき、ファンドの買付け価格が7,000円だったら、

200口×7,000円=1,400,000円

この時点で1,200,000円の投資金額に対して、時価評価1,400,000円で売却することになります。

つまり、10年間にわたり積立での資産形成をおこなったとき、ファンドの平均購入単価を下回らなければ、損益は生まれません。

実際はもうちょっと複雑ですが、積立での投資信託も変額保険も資産が増える仕組みは、このような「口数の増加」がカギとなってきます。

ただ、値動きが少ないと、こうはいきません。

投資信託でも変額保険でも同様ですが、積立メインで資産形成を考える場合、債券型のファンド、とくに国内物の債券ファンドや、リスクヘッジ機能が働き値動きのブレを吸収してしまうようなバランスファンドだと値動きが少なく、思ったような運用成果が出にくいのが現実。

それは過去のデータが証明しています。

まあ、このへんは投資信託を取り扱った経験のある方なら、「常識中の常識」「基本中の基本」のような事ですが。

ですので、強い相場の落ち込みで一喜一憂するのではなく、逆に「絶好の買い場がやってきた!」と捉えることが積立での資産形成には必要になってきます。

最終的には、投資信託でも変額保険でも「ファンドはお客さま自身に選んでいただくこと」になりますので、そこまではご説明する側がお客さまに対して「しっかり助言ができる」ことが大前提にはなりますが。

ただ、忘れないでください。

投資信託にしろ変額保険にしろ、積立での資産形成を目指すなら、「強い相場の落ち込みこそ絶好のチャンス!」だということを。