FX(外国為替証拠金取引)で今トレードしている人も、これから始めようとする人も、誰も証券口座に入金した自分のお金が無くなることを前提に、この難解な相場にチャレンジしていることはないでしょう。

しかし、資金の増加を期待してチャートを見つめても、そのエントリーしているポジションが数時間後や1日後、あるいは5日後あたりに、必ずプラスになるとは限りません。

じゃあ、「上がるか」「下がるか」しかないその世界で、何を思って「買い」または「売り」でエントリーするのか?

その答えは千差万別。

チャートを見ただけの直感的な判断でも、決して間違いではありません。

エントリーしたところを起点に思った方向にチャートが動けば、一見無策とも思えるその判断にも十分正当性が生まれてきます。

確率は2分の1ですから。

それでも、何度もトレードをくり返していると、直感的な判断だけでは生き残っていけないことを、やがて痛感してきます。

余りある証拠金、たとえば証券口座に1,000万円以上入金して、レバレッジ25倍の国内基準で、小ロッド内からのエントリーなら、直感的な判断だけを頼りに1~2年は続けられるでしょう。

もしかしたら、そこまでの資金で戦うなら結構余裕かもしれませんが、そうじゃないのが個人投資家さんの実態だと思います。

でも、FXにチャレンジすることは、資金を減らすことが目的ではないので、どんどん含み損が膨らみ資金の身動きが取れなくなったり、天井付近の損切りが重なれば、否が応でも「なんで勝てないの?」ってなりますよね。

そこで試行錯誤を始めることになりますが、為替を動かす原因は一言で言い表すことなんてできないほど、複雑に絡み合っています。

ただ、インターバンク市場で為替を動かしているのは、間違いなく「機関投資家」やヘッジファンド、運用会社などの「巨大企業」が持つ巨額の投機マネーです。

だからその「機関投資家」や「巨大企業」が、どのタイミングでエントリーして、どのあたりで決済してくるかを「想像」しないといけません。

それが、各国の「国債金利」だったり、NYダウ・ナスダック・S&P500に代表される「株価3指数」、株式市場のボラティリティを示す「VIX指数」、WTI原油に代表される「原油先物」などの指数変動。

そして「ファンダメンタルズ」からの要人発言。

各国「経済指標」や「政策金利」の発表時間前後。

東京時間の9:55ごろの「仲値公示」にあたる、深夜0時の「ロンドン・フィックス」。

同じく深夜0時の「ニューヨーク・カット・オプション」。

各株式市場のオープン30分前後。

外貨の本需要が高まる「ゴトー日」、あるいは外貨を自国通貨に切り替える月末。

大口が含み損を解消してくる火曜日。

まだまだ巨大な投機マネーが動き出す瞬間はありますが、代表されるような為替変動タイミングだけでもこれだけあります。

少なくても、これらの代表されるような項目はある程度注視しておかないと、エントリーポジションが順調に含み益を増やしていても、「あるタイミングを契機に」や「ある時間を契機に」、「突然逆に強く動き出す」なんてことが往々にしてよくあります。

つまり、FXで勝とうとすれば最低限でも、時間帯に注目したり、株価や国債金利を確認したり、各国の経済状況や金融政策ついて調べるようになっていきます。

この各国の株式市場や国債金利の動向を知ること、各国の経済状況や金融政策を知ることは、じつは私のような「外貨建て保険」や「変額保険」を取り扱う人間には非常に重要なことで、実際仕事に直結しています。

以前、外貨建ての一払系保険商品(全期間分を1回でお支払いする)といえば、高利回りを誇ったオーストラリアの「豪ドル」建てが主流でした。

2018年後半から、アメリカのトランプ政権は中国を相手に、約1年間にわたりドロ沼の「米中貿易戦争」を繰り広げます。

そのときオーストラリアは、かなりアメリカ寄りの経済政策を慣行しました。

そのことが習近平国家主席と中国共産党の逆鱗に触れ、最大の貿易相手国から強烈な輸入制限が下されることになります。

国債としては破格の3%に迫るほどの勢いがあったオーストラリアの10年債金利も、2018年後半から一気に急降下し、一時は1.00%を割りそうになるまでに低下。

2019年後半からは何とか1.5%付近まで戻しましたが、その後に新型コロナのパンデミックがやってきました。

そして再びオーストラリアの国債金利は急降下。

ただ、オーストラリアの新型コロナ対策は非常に迅速で、感染者が拡大する前にすぐさまロックダウン(都市封鎖)をおこないます。

各国の経済政策と同様、オーストラリアも新型コロナの経済対策のため、政策金利はご多分に漏れず「ゼロ金利」政策と金融緩和をおこないました。

よって、2020年7・8月には国債金利だけでなく、豪ドルも50円割れ寸前まで落ち込むことに。

それでもラディカルな新型コロナ感染対策を実施したため、オーストラリアの経済は日本やアメリカ、EU諸国ほどズタボロな状況まで追い込まれていません。

そして今、新型コロナで落ち込んだ経済活動が戻り始めたため生産体制が回復。

それに伴ったエネルギー需要から、資源国であるオーストラリアの主要産業もしっかり稼働し始めています。

そのうえ、もともと移民国家であるオーストラリアは、移民受け入れ政策や人口の自然増加傾向が堅調に推移しており、主に消費意欲の高い30代の人口比率が高く、国の歳入はここ最近落ち込んでいるものの、これから内需に十分期待が持てる国情で、GDPも着実に右肩上がりの状態。

国の債務ももちろんありますが、日本のようにGDPの2倍もの債務比率を抱えるほど病んではおらず、これから新型コロナの収束次第ではアメリカやEU諸国よりも、いち早く経済復興が見込みやすい環境とも言えます。

だとすれば、2019年、2020年と、オーストラリアの国債金利が極端に低下したことや、急激な豪ドル離れなど一過性だと捉えることができ、今後の経済発展も期待できるだけの潜在的な可能性をオーストラリアは備えていると判断できます。

そして、お客さまにご利用いただいた「豪ドル建て」の一払保険商品も、ここ数年で国債金利や豪ドルに不安が見られたもののそれは一時的なことで、このままご契約をお持ちいただければ、今後さらに資金の増加が十分見込めるだけの理由があることを、オーストラリアの国情から察することができます。

国内事情や新型コロナ感染対策により、ほかの先進国とは異なる経済復興か早期に期待できるだけに、今後の焦点は政策金利の引き上げ「利上げ」がいつになるのかに注目が集まってきますが。

RBA(オーストラリア準備銀行)のロウ総裁は2024年を明言していますが、インフレリスクが顕著に表れ始めたことで、各国中央銀行の見解は、政策金利の引き上げ「利上げ」時期を前倒しする見通しが、徐々に鮮明になってきました。

このトレンドがオーストラリアにも届けば、予想よりももっと早い時期に、オーストラリアの国債金利も豪ドルもしっかり復調をみせると思ってます。

豪ドル建ての資産をお持ちの方も近いうちにきっと、一時の豪ドル建て不安は必ず払拭されるはず。

それまで、もうしばしお待ちいただいたほうが賢明ですよ。

私のFXトレードは、ぜんぜん資金が増えませんが!