アメリカの通貨「USドル」に対して、日本の「円」が価値を保てるボーダーラインと見込まれていた125円付近。

いわゆる「黒田防衛ライン」です。

その125円をいとも簡単に通り抜け、もはや130円台を視野に入れ始めたドル/円。

日本の「円」は今のところ最弱ですが、「ユーロ」や「ポンド」、「豪ドル」などの他国通貨もUSドルと比べればそれほどでもなく、アメリカのUSドルだけが異常に強い状態です。

これにはちゃんと理由があって、世界中でインフレ(物価上昇)が懸念され、新型コロナのパンデミック対策から市場に流入された膨大な資金を、今度は引き締めにより回収しようとする動きが活発化する中、2012年以降から今日までの間、日本だけが長らく金融緩和を継続しています。

特にアメリカのインフレ(物価上昇)は深刻で、3月に政策金利の引き上げ、いわゆる「利上げ」を発表してもインフレ(物価上昇)はさらに加速し、今後、今以上の引き締め策が必要であることを、FRB(米連邦準備理事会)議長や理事たちも公言したことから、ドルの価値が急上昇。

それだけ、アメリカのインフレ(物価上昇)が強烈で市場に流した資金の早期回収と、逆に日本は長期にわたり経済状況が停滞していることが重なり、急速に「ドル買い」「円売り」が加速しています。

日本の状況は、新型コロナのパンデミックがあろうがなかろうが、同じだったでしょうが。

それにしても、今のUSドルは強い。

強すぎる!

ということは、今の「円安」環境は、巨額の米ドル建て債券を保有する政府や、インフレを目論む日銀、あるいは半分が海外資産のGPIF(年金積立運用独立行政法人)などからすれば、居心地の良い環境なのかもしれません。

この円安状態を容認しているのも、うなずけるだけの理由が垣間見れます。

日常生活を輸入品に頼る、一般庶民の状況などを考えなければ。

私どもが趣味程度でやっているFX(外国為替証拠金取引)も、4月11日に124円半ばで売りエントリーしたポジションと、4月13日の起死回生というかロスカット逃れの125円前半の買いエントリーした「両建て」ポジションは、いまもそのまま。

売りポジションはかなり含み損が膨れ上がっていますが、買いポジションの方もそれなりに含み益が広がっており、そろそろ買いポジションは決済ポイントを見極める時期に。

まずは、買いポジションを今週中に決済予定。

その後に資金を追加し、売り増しをできるだけ天井付近で仕掛けたい「ナンピン」戦略で、大きな含み損を抱える売りポジションの救出を試みる算段です。

もう4月も今週で終わり。

週末になれば大型連休のゴールデンウイークが控えています。

そのまえに、27日,28日と日銀の「金融政策決定会合」があり、ここで「歴史的な円安」に対する日銀のスタンスが公表されるはずなので、27日までには買いポジションは決済しておきたいところ。

チャート的にドル/円が急上昇した起点、3月7日から125円を付けた3月26日までが、エリオット波動でいうところの「第1波」だとすれば、そこから押し目を付け再上昇した3月31日から4月22日までの距離が、「第1波」よりもまだまだ短いので、もうちょっと上昇が伸びる可能性を見ていますが。

129円後半か?

円インデックスも過去最低水準のままだし。

あるいは、3月31日からサイクルの波動が始まっているのであれば、まだ第1波目。

そうなれば、20年前に付けた135円台越えも十分あり得ます。

その上昇波に、転換の引き金となりそうなのが、27,28日におこなわれる日銀の「金融政策決定会合」。

会合後の声明で、今の円安環境を転換に導くような発言が飛び出せば、一気にドル売りの目が出てきそうですが。

そのうえ、ご存じの通り、アメリカの通貨「USドル」は世界の決済通貨でもあります。

ほとんどの場合、他国間での貿易においてはアメリカのUSドルを用いなければなりません。

ただ、企業の収益を計算するには、一度どこかで自国通貨に戻す必要があります。

そこでいったんドルを売らなければいけません。

そのタイミングと、日銀の「金融政策決定会合」で円安是正の言及が重なれば、思わぬドル売り局面が発生することも十分に考えられます。

29日は「昭和の日」で、日本市場は休日。

日本は休みでも、ロンドン市場やニューヨーク市場は動いています。

29日は4月最後の金曜日。

月末と金曜日が重なる「ロンドン・フィッキング」は、為替がメチャメチャ動くことで有名です。

日銀の「金融政策決定会合」で円安についての言及から、その流れで深夜0時のロンドン・フィッキングとなればドル売りに拍車がかかるなんてことも。

5月に入れば、すぐにアメリカの中央銀行にあたるFRB(米連保準備制度理事会)が、金融政策について話し合うFOMC(公開市場委員会)がありますし、アメリカの経済状況を表す「雇用統計」も5月6日に発表されます。

つまり、今週末から来週にかけて金融政策面のイベントが目白押し。

しかも、日本はゴールデンウイーク。

日本市場が休場の場合、ちょっとしたことで円買いを仕掛けてくるのは、大口の常套手段。(2019年1月3日のフラッシュ・クラッシュのように)

ギャンブル的な要素でFXを見れば、今週から来週にかけて大きな波乱が巻き起こりそうな展開ですが、どんなに損益が重なろうが私どもの考えは「FXはギャンブルではなく投機的な投資」。

いくら確率50%とはいえ、一か八かの思いつきゲームとは思っていないので、今ある含み益を手堅く利確し、含み損をなるべく減らして、最終的にプラ転させるような内容に持っていければ一番かなと、また叶わないかもしれない戦略を立てています。