世界的な物価高が懸念される中、2022年9月13日に発表されたアメリカの「CPI(消費者物価指数)」は、前年同月比で8.3%上昇と7月の8.5%からは縮小したものの、いまだにアメリカの物価は高止まりしていることが鮮明となりました。

この発表を受けて、NYダウが1,276ドル下げの大クラッシュ。

そしてドル/円は、141円60銭台から一気に144円65銭へと急伸する、脅威の暴騰劇を見せます。

NYダウで1,000ドル超えの急落を見たのは、2020年の3月以来のような気がします。

ただ問題は、ドル/円。

こんなの初めて見ました!

1日で3円も上がる展開は。

これがなんと、東京時間からニューヨーク時間を通してではなく、「CPI」が発表された日本時間の21:30から日付が変わる0:00くらいまでの短時間でおこりましたので、なおさらビックリです。

しかも、次の日には1.5円ほど下げるし。

長い間、アメリカ株価3指数もドル/円相場も見てきましたが、2020年の2月から3月にかけて、NYダウが30,000ドルから18,000ドルを行ったり来たりする、驚愕の「ジェットコースター相場」をリアルに体験しましたが、それに近い衝撃があります。

今まで見てきたドル/円とは、「下がれば下がりっぱなし」「上がれば上がりっぱなし」で大きく変動すればレンジに入ることが多かっただけに、全世界の決済通貨である「USドル」が、あまりにも極端な急騰急落をくり返すなんて、誰もも思っていなかったでしょう。

9月13日に「CPI」が発表されたその後は、YouTubeで人気のFXトレーダー達から、けっこう悲痛な悲鳴が聞こえてきたような。

それでも、9月はまだアメリカの重要な経済指標が発表されたのが、「雇用統計」と「CPI」くらい。

注目の政策金利を決める9月の「FOMC(公開市場委員会)」も、個人消費者の消費傾向から物価見通しの目安となる「PCEデフレーター」の発表もこれから。

しかも、発表された8月の「CPI」は、エネルギーや生鮮食品など、価格変動が激しいセクターを抜いた「コアCPI」で見れば、7月より0.3%の上昇の6.3%。

「コアCPI」だけ見ても、まだまだアメリカのインフレは、収まりそうな気配がありません。

8月の終わりに例年おこなわれる、ジャクソンホールでの経済シンポジウムで、FRBのパウエル議長がいつになく強い姿勢で発言した、「経済を犠牲にしてでもインフレを2%台まで抑え込む!」ことを実行に移せば、波乱はこれで済まない可能性が十分考えられます。

アメリカの70年代後半から80年代前半にかけて、第2次オイルショックからの高インフレ時代を、政策金利1%越えの強権発動で切り抜けた、「インフレファイター」ポール・ボルガーFRB議長のように、今のFRB理事たちが超タカ派の見解を示せば、数年、アメリカ株価3指数には「暗黒の時間」が訪れるでしょう。

それでも、日本と違って経済自体は強いアメリカ。

数年後の「利下げ」時期を想定すれば、これから逆に買い場になるかも。

中間選挙を11月に控えていることもあって、資産運用や資産形成にはアメリカの株式市場は欠かせないメインターゲットなだけに、今年いっぱいは目が離せない状況が続くかもしれません。

積立投資の資産形成はもちろんのこと、一括投資の資産運用も、これから始めるとしたら、5年以上の中長期保有が不可欠な相場となりそうです。

もう完全に「2020年後半」や「2021年」のような、コロナバブル期とは違いますから!