2022年4月13日、「黒田ライン」と言われた1ドル125円付近を、安々と抜けていった時からわずか5か月。
昨日、2022年9月22日に付けた1ドルの最高値が「145円90銭台」。
もう4月から20円以上も上昇しています。
「どこまで上がるの?」と思われた矢先、突然、「為替介入」の一報が流れ、ドル/円チャートは、140円30銭台へとみるみる下がっていきます。
その日の前段、日銀がおこなった「金融政策決定会合」は予想通りの現状維持だっただけに、この「為替介入」の報道はかなりのインパクトがありました。
いくら「円安」を叫ぼうが、政府も日銀も口先介入だけで、結局は何もしないと思われていただけに。
「為替介入」の報道から一転、ドル/円は146円目前から一気に140円を割り込みそうになるくらまで落ち込みます。
ほぼ驚異の6円下げ。
ただ残念ながら、今年3月までの1ドル115円台には到底及ばないレベルです。
現在でも、まだまだドル/円は強い142円台前後の高水準。
その背景には、高インフレに苦しむアメリカを救うべく、アメリカの中央銀行にあたる「FRB(米連邦準備理事会)」がとった決断があります。
2022年9月21日、「FRB」は政策金利を決める「FOMC(公開市場委員会)」にて、3回連続で「0.75ポイント」のFF(フェデラルファンド・レート)金利を引き上げるというタカ派の金融政策を決定しました。
ある程度、経済を犠牲にする覚悟で。
かたや、わが国 日本は、2012年以来、ずうーっと金融市場にお金を流し続ける金融緩和姿勢。
何があろうと。
これまで、異常な「円安」環境を生んできたのは、日米の金融政策の違いと言われてきましたが、「USドル」は世界中で決済通貨として幅広く流通しています。
その決済に使われる「USドル」が発行元のアメリカで、通貨発行権を持つ「FRB」はもう過度にお金は刷らないし、流通している「USドル」を国債を売って回収しようとしています。
国をまたいでおこなわれる、モノやサービスの代金として、支払いに必要な「USドル」が。
絶対量が低下すれば、価値は必然的に上がっていきます。
「円安」は日本にとって有利と言われてきましたが、「加工組立」が得意な日本企業は、生産拠点をぞくぞくと海外へ移行している現在、「円安」の恩恵を受ける企業も、以前よりは減りつつあります。
そのうえ、日本国内で消費される原材料は、ほとんどが海外から入ってくるモノばかり。
そんな中、新型コロナの経済的なダメージの回復期にウクライナ情勢も重なり、次は世界的なインフレが本格的な問題になってきたのに、各国の経済政策とは真逆のスタンスを貫く政府や日銀が、一時的な「為替介入」をおこなっても効果があるのか、ちょっと疑問がわいてくるような。
なんか、遅すぎるような気もしますし。
今年の4月、1ドル125円を抜けた時、あるいは140円台に迫った7月14日あたりに「為替介入」をおこなってくれたら、皆さんの生活にも、もっと余裕が生まれたと思ったりしますが。