2月の14日、バレンタインデーの日。
突然、伝説的メロコアバンド Hi-STANDARD のドラマー「恒岡 章(ツネオカ アキラ)」さんが逝去したとの一報が流れ、音楽業界に衝撃が走りました。
享年51歳。
Hi-STANDARDは1991年に結成された、メロディアスなサウンドとキャッチーな英語の歌詞が特徴的な3人組のロックバンドです。
ロックという大枠のカテゴリーに分類されることが多いかもしれませんが、どちらかというとパンク。
それもメロディック・ハードコア。
ギターの「横山 健」さんが発するメロディアスでキレのあるサウンドに、ドラム「恒岡 章」さんがテンポの良い爽快なビートを刻み、そこに「難波 章浩」さんのキャッチーなボーカルが重なり合うことで、駆け抜けるような疾走感やパワフルな高揚感に包まれた音源を解き放ってきました。
その特徴的なリフ(リフレイン・印象的なフレーズ)はみなさんも、きっとどこかで耳にしたことがあるでしょう。
そんな Hi-STANDARD も人気絶頂を迎えた2000年8月、突然活動を休止。
Hi-STANDARD が3人そろって帰ってくるまでは、じつに10年以上の時間を要することになります。
その間、ボーカル・ベースの難波 章浩さんとギターの横山 健さんの不仲説がさんざん騒がれ、もう2度とあの3人が揃うことはないだろうと思われていました。
それが奇しくも東日本大震災を契機に、Hi-STANDARD は見事に復活することになったのです。
再び Hi-STANDARD のサウンドが聞けるファンは大喜び。
それはそうでしょう。
オリジナルの Hi-STANDARD はもう見れないと思っていましたから。
新たな楽曲もリリースされ、「やっぱハイスタ最高!」と安堵したこの10年あまり。
これからも Hi-STANDARD はファンたちを熱狂させると信じて、3人が作り出すオリジナルの音源に魅了さることを期待し続けました。
そう2023年2月14日までは。
もうツネさんのスナップを効かせたスティック捌きも、一瞬リズムが途切れたところで見せる、スティックを後ろに放り投げるしぐさも見ることはできません。
なにより、Hi-STANDARD で唯一無二のビートを刻み続けてきたのはツネさん。
ロン毛のボンバーヘッド時代からツネさんを見続けてきたひとりのファンからすると、非常に切ない思いがあふれてきますね。
亡くなってしまった原因についてはいろいろ取り沙汰されていますが、1991年から約10年間、全力で走り抜けて突然ぽっかり穴が開いて、そしてまた10年以上第一線を激走してきた半生には、アーティストとしてのさまざまな思いや葛藤、そしてフラストレーションなどがあったと思います。
ただ望むならもう少しだけ、2人の後ろでスナップを効かせたビートを刻み続けて欲しかった。
もう叶わぬ願いとなりましたが。
バイバイ、ツネさん。
もうゆっくり休んで。
今はただ「STOP THE TIME」だけが、クルマの中で鳴り響いています。