モータースポーツに興味がある方は、「モリゾウさん」の名前を一度は耳にしたことがあると思います。

今年は残念ながら台風19号の影響で開催中止になってしまった、全日本ラリー選手権 最終戦 MSCCラリー㏌ふくしま 2019ですが、昨年より福島県いわき市の小名浜にラリーパークを設置し、盛り上がりを見せていました。

なかなか見ることのないスポンサー名の入ったド派手な競技車両を、目の前で見ることができますし、一般道を使用してSS(スペシャル・ステージ)まで向かいますので、普段使用している普通の道路を競技車両が走る光景を見ることなんてまずないと思います。

10数年前よりモータースポーツクラブのお手伝いをさせてもらっていまして、全日本ラリー選手権のカレンダーに、「MSCCラリー㏌ふくしま」がクレジットされると開催数か月前にコースに入り、無線が通じるかの無線チェックをおこなったり、開催日にはコース上の警備やメディア対応などについていました。

そんな中、以前、トヨタの86が発売されたころに TOYOTA GAZOO Racing が大勢のメディアを動員して走行シーンを撮影していたことがあります。

GAZOO Racing がまだそれほどメジャーではなかった頃でした。

そしてそのころ、モリゾウさんは愛知県の全日本ラリー選手権のひとつ新城ラリーと併催しておこなわれるTDRラリーチャレンジに86でエントリーし始めます。

次の年にはTDRラリーチャレンジに全戦参戦、2勝しクラスチャンピオンに。

ここから再びメーカーとしてのラリーへのチャレンジがはじまるのですが。

以前からニュルブルクリンク24時間耐久レースに「モリゾウ」さんの名前でエントリーするなど、モータースポーツの世界でひときわ異彩を放つ存在でした。

愛知県の新城ラリーでもひときわ目立つ存在らしく、まず近寄ることすらできないらしです。

当時のことを関係者から聞いた話ではモリゾウさんにはSP(セキュリティ・ポリス)がつき、秘書8人を引き連れているらしいとのこと。(何のための秘書?)

そのうえ全国の関連業者の社長さんたちが、新城ラリーに駆け付けTOYOTAののぼりをもって応援していたとのこと。

私どもも実際に見たわけではないのですが、モリゾウさんの本当の名前を知っているだけに逸話を聞いただけで納得してしまう部分もあるのですが。

最近では自社のコマーシャルでも目にするようになり、ラリーもさることながらニュルブルクリンク24時間耐久レースでの「GRスープラ」のドライバー兼総代表や国内のスーパー耐久シリーズにおける「ROOKIE RACING 86」のドライバーとしての活躍が目につきます。

モリゾウさんとは今年5月に発表された2018年4月から2019年3月にかけての連結決算が日本企業初となる30兆2256億円の売上高を記録したトヨタ自動車の豊田 章男社長のことです。

もともとはアメリカの投資銀行に勤務していましたが、その後社員としてトヨタ自動車に入社。

入社後は開発ドライバーでも頂点に立つマスターテストドライバーに車の運転を1から指導され、自らもテストドライバーとしての地位を確立しました。(車の急制動の訓練だけで2年間にわたったとのこと)

副社長であった2007年ごろ、自らの理想のクルマづくりを目指すための社員有志によるアマチュアレーシングチーム「Team GAZOO」を結成。

当時社内の反応も冷ややかで予算もないのにニュルブルクリンク24時間耐久レースにエントリー、既に生産終了の中古車を改造し参戦。

そのときのドライバー8人のうち自身も含めて6人は社員だったといわれ、ここではじめて「モリゾウ」さんとしての名前でエントリーしています。

モリゾウさんの由来は諸説あり、愛知万博のマスコットキャラクター「モリゾーとキッコロ」にちなんでとか「もっといいクルマづくり」や「クルマファンづくり」からきているなどさまざまです。

いずれにしろ、モリゾウさんの根幹には「いいクルマをつくろう」をいう開発者側の発想が盛り込まれており、それには自社のクルマの制動を理解しようする行動となりその延長線上にモータースポーツがあると考えられます。

自身が世界でも名立たる自動車メーカーのトップとして、作っている車の性能を知ることは至極当然のことなのでしょう。

モリゾウさんの理念がモータースポーツの世界をまた面白くさせてくれることを切に希望したいと思います。

追伸、私どもはモータースポーツにおいて日産ファンです。